乳がん検診にクラウドファンディング、漢方処方の注意点

 

FBで友達の高原太郎さんが、痛くない乳がん検診のクラウドファンディングを立ち上げたので、少額ながら支援してみました。

https://readyfor.jp/projects/dwibs202210?fbclid=IwAR3uien6VP-TG5L02xSEu0MXt2zU0LF9aNjUoiS2S1UgDwypIysXKGzB7fw

 

私も大学院時代は、歯科放射線学教室に在籍し、ラジオアイソトープ研究室の手伝いもしていました。もともとは、臨床よりも、実験、研究、学会発表などの方が性に合っているので、

「もし、研究室にずっと残っていたら、自分はどうなっていたのかな?」と、思う事もたまにあります。

 

高原先生のプロフィールは、医工学科、教授、1961年東京都生まれ。秋田大学医学部卒業。聖マリアンナ医科大学放射線科勤務、東海大学医学部基盤診療学系画像診断学講師、オランダ・ユトレヒト大学病院放射線科客員准教授などを経て、2010年から現職。医学博士。

 

支援メニューの中に、

個人向けとして、無痛MRI乳がん検診のギフトがありました。パートナーや家族にプレゼントできる、無痛MRI乳がん検診の贈り物です。

以前、カミさんが健康診断を受けて、乳腺に石灰化がある…との診断を受けて、その時は、心配ないが、要経過観察とされたので、念のために申し込んでみた訳です。

 

 

 

乳がんの治療には、西洋医学的に認められた標準治療が推奨されます。補助的に免疫力をサポートする為に代替医療やサプリメントは、有用であると思われますが、ファーストチョイスにはなりません。

 

その中で、漢方処方も選択肢の一つに成り得ると思うのですが、注意点もあります。

 

乳がんに限らず、がんの漢方治療は、患者さんの体力・免疫力・抵抗力・回復力を鼓舞し、予後の不快な症状を改善して、生活の質を良くすることを目的としています。

 

免疫力は、飲食の水穀の精微から作られる「気」の充実により維持され、後天の精が満たされる事で獲得されます。

 

歯を健常に保ち、美味しく食事が頂けて、初めて体力が保たれるのです。

「人」が「良くなる」と書いて、「食」と言う漢字が成り立ちます。

 

補助的に処方される漢方薬は、体力や食欲の状態、予後の症状、がんの進行程度によって、漢方処方は変わっていきます。

 

【乳がんにおける漢方処方の注意点】

乳がんは、女性ホルモンのエストロゲンによって、ガンの増殖が活性化されます。ここで重要な点は、生薬の中には、女性ホルモンと似たような作用を有したものが存在する所です。

 

女性の生理は、エストロゲンの増減によって、乳腺組織や子宮内膜組織の活動が維持管理されています。この事から、乳がんや子宮体がんの中には、エストロゲンによって細胞の増殖が促進されてしまうのです。

 

その中でも、大豆イソフラボンなどのサプリメントの過剰摂取は、ガンの増殖を刺激してしまう可能性があるのです。その他にも、マメ科の生薬の「葛根」(かっこん)にも、イソフラボンは多く含まれています。

 

良く知られた所では、風邪の引き初めに服用する「葛根湯」に加味されています。

 

また、元気が出るからと言う理由で、「高麗人参」を摂取してしまうと、やはりエストロゲン作用によって、かえって、乳がんに悪影響を及ぼし兼ねないので、乳がん患者には禁忌に近い処方となっています。

 

【植物エストロゲン】

前述した大豆イソフラボンは、体内で生成されるエストロゲンと構造や働きが似ている事から、植物エストロゲン(フィトエストロゲン)と呼ばれています。

 

一般的には、エストロゲンの低下で引き起こされる「更年期障害」や「骨粗鬆症」を改善する目的で、近年ではサプリメント市場で商品化が進みました。

 

食材では、味噌、納豆、枝豆、黒豆、豆腐、湯葉、きな粉、豆乳などにも植物性エストロゲンは含有しています。この事から、食品安全委員会は、1日の大豆イソフラボンの摂取量の上限を70~75mgと定め、サプリメントの場合は1日30mg以下という指針を出しています。

 

イソフラボンの過剰摂取は、ホルモンバランスに何らかの悪影響を及ぼす可能性が考えられるのです。

 

【病理組織検査でわかる感受性】

実は、乳がんのエストロゲン依存性の有無は、病理組織検査で判別できます。もし、非依存性(エストロゲン受容体がマイナス)の場合は、生薬のエストロゲン感受性は、あまり心配はありません。

 

一方、依存性(エストロゲン受容体がプラス)の場合には、食事・生薬・サプリメントに由来する植物エストロゲンの摂取は、出来るだけ控えた方が賢明です。

 

そんな中、生薬の中にはエストロゲン作用は持たないが、更年期障害に有効なものが存在します。こうした生薬をうまく活用できれば、ホルモン療法の副作用を減らしながら、再発防止も望めます。

 

【当帰芍薬散と桂枝茯苓丸】

生薬の「当帰」は、エストロゲン作用を持たない事が報告されています。

 

当帰芍薬散は、更年期症状の顔面の火照り、のぼせ、発汗といった末梢血管の拡張に起因する、自律神経症状に対し、桃仁、牡丹皮、桂皮が症状を和らげます。

同様に、桂枝茯苓丸にも、エストロゲン作用がない事が報告されています

桂枝茯苓丸は桂皮・茯苓・桃仁・牡丹皮・芍薬の5つのシンプルな生薬構成です。

 

この惑星で、私の女房が務まるのは、間違いなくカミさんだけです。かけがえのないパートナーに、痛くない乳がん検診をプレゼントしたいと思います。