「口腔違和感症」…口の中が、ヒリヒリ、ピリピリ、灼熱感を伴う

近年増加中の口腔違和感症として、何だかわからないけど、常に、舌がチクチク、ヒリヒリ、舌が熱い感じがすると訴える方がいます。これは、臨床的には「舌痛症」にくくられます。実際の臨床では、現場の医療従事者と患者さんが訴える悩みの深さに隔たりが生じて、なかなか医療の現場でくみ取る事が出来ないことから、患者さん自身、とても思い悩む症状です。

 

その発生機序は、あまりハッキリとした病態が解っていない所が有りますが、患者さんの統計を取ってみると、過度のストレスや大きな不安感を感じていたり、慢性疲労、寝不足、過労などの肉体疲労をきっかけとして、発症することがあります。

 

その年齢分布は、男女とも30代~50歳代から始まり、とくに更年期前後の女性に多く発症します。

①    症状と傾向

痛みやしびれなどの症状が長期間続きます。この時、お醤油や辛い飲食物の刺激で、痛みを訴えるケースと、何も飲食をしなくても、ヒリヒリ感を伴う場合があります。特に多発する部位は、舌の先端や側縁に多いですが、稀に舌の奥や中央が痛むこともあります。また、季節変動や精神的な心情の変化(失恋、受験、親族との死別)などで、発症する事もあります。何かに熱中している間は、痛みやしびれを感じない、または気にならない時もあるので、心療内科との相関も関係している事もあります。

 

この事から、舌上に炎症や潰瘍の病変が、痛みの誘発原因がない場合が多いです。

 

西洋医学的に現在解っている主な原因として、ビタミンB12、鉄の欠乏、カンジダ菌感染症、糖尿病、薬の副作用が誘因となっています。 

一方、東洋医学的には、殆どの症例に、「陰虚体質」(いんきょたいしつ)が関係していると、私はにらんでいます。