WHOが認める鍼灸治療

近年、西洋医学を中心とした医療に対し、それを補完する形で、代替医療が注目を集めています。それは、東洋由来の鍼灸、漢方、気功、ヨガ、アーユルベェーダに加えて、欧州由来の、カイロプラクティック、ホメオパシー、サプリメントなどが含まれます。

 

そして、癌に罹患した方などは、西洋医学の推奨する、「標準治療」だけではなく、こうした代替医療に可能性を求め、治療を行っている方もいます。近年では、歌舞伎役者の奥様が、代替医療に傾倒し、治療が遅れたのではないか?と、マスコミでは指摘されています。

 

そうした記事の中には、鍼灸も含めて、全く科学的根拠のない治療として、全ての代替医療を否定したり、断罪する情報も散見されます。

 

しかしながら、一方で代替医療の中にも専門の研究機関で調査・研究が行われ、少しずつその有効性が科学的に明らかにされてきています。頭ごなしに、全てを否定するのは、あまり良い風潮ではありません。

特に鍼灸治療は、欧米など多くの国々で、れっきとした医療行為として認められており、世界の100ケ国以上で鍼と灸は取り入れられています。

 

特に、1972年に世界保健機構(WHO)では、鍼灸治療に対して効能が認められる疾病を検証し、治療効果が見込めるものとして、40種類以上の適応疾患として定めています。

 

専門学校で、鍼灸師の国家資格を取得したものとして、「癌を完全に治癒させます」という表現は、誇大かもしれませんが、手術後の体力や食欲が衰えた時の回復などに、補完的な治療としてエビデンスがあるのではないか?と、私は考えています。全てを否定するのは、少し偏った見方のような気がします。以下に適応症を列記しておきますので、ご参考くださいませ。

鍼灸の適応疾患リスト(WHOの適応疾患、1996年)

運動器系疾患 上顆炎(テニス肘)、頚部筋筋膜症、肩関節周囲炎(五十肩)、慢性関節リウマチ、変形性膝関節症な
消化器・呼吸器系疾患 下痢・便秘、潰瘍性腸症候群、急性扁桃炎、咽頭炎、喉頭炎、慢性副鼻腔炎、気管支喘息など
疼痛疾患 片頭痛、緊張型頭痛、坐骨神経痛、抜歯後疼痛、ヘルペス性神経痛、三叉神経痛
循環器系疾患 狭心症を伴う虚血性心疾患、高血圧症、低血圧症、不整脈など
泌尿・産婦人科系疾患 月経困難症、分娩誘導、月経異常、女性不妊、男性不妊、インポテンス、遺尿症、尿失禁など
 その他の疾患  近視、肥満、メニエール症候群、片麻痺、うつ病、薬物中毒、アルコール中毒