漢方薬って、即効性が無いんじゃないの?と言う質問に答えて

私の医院では、体質由来の口臭患者さんに、体質改善の為に、漢方薬を処方するのですが、患者さんから寄せられるご質問の中で、

 

「漢方薬は、長期間飲まないと、効果が出ないんじゃないですか?」

 

と言う問い合わせを受ける事があります。私も東洋医学を専門にして、鍼灸師(国家資格)のライセンスも取得し、漢方処方も今年で25年続けていますが、この質問に対する答えは、

 

「イエスであり、ノーでもある」と考えています。

 

漢方薬の効果は、病気、病勢の種類によって変化してきます。全ては、人体が持つ体質と漢方薬の持つ薬効との、相互的・相対的な関係性なのですね。

 

例えば、風邪のひき始め、急性炎症の歯肉炎などの初期であれば、病邪も、まだ身体の中に深く入り込んでいないので、いち早く身体から追い出すような漢方処方を選ぶと、本当に数回の服用で、切れ味良く効果が出てきます。

 

一方、長期間患った病気として、「ドロドロ血」「冷え症」による、生理不順、不妊症、ニキビ、口臭や「消化機能の失調」「ストレス」「食生活の不摂生」で引き起こされる、アトピーや喘息、口臭などは、身体に必要な、生命素が慢性的に不足し、氣力や免疫力が衰えているので、根本から補充して改善するには、半年位かかる時もあります。

 

一般的に、急性症状と慢性症状であれば、急性の方が改善傾向は早く出てきます。同様に、病気の初期と長患いであれば、初期症状の方が、早めに効能が出てきます。

イメージとしたら、経済的に余裕があって、潤沢に資金がある場合、資金繰りが上手く行かなくなった時には、あっという間にお金が減っていくのに対し、長期間にわたって、お金に困窮している方が、一夜にして、億万長者になる事は、なかなか難しい事に似ています。余分なものは、比較的に簡単に減らす事が出来ますが、常に不足傾向にあるものは、なかなか増やす事が難しいのですね。

 

燃え盛っている炎には、水をジャっとかければ、簡単に火は消えますが、冷え切っている釜に火を起こすには、まず新聞紙に火をつけて、小枝に移し、徐々に大きな薪に種火を移して、ようやく釜も温まります。その位、身体の中も繊細なのだと思います。

 

そして、実は私が専門にしている口臭の発生にも、慢性と急性、裏と表、陰と陽、寒と熱、虚と実が深く関係しています。対比するこれらの特性は、前者の口臭の方が、治療が長期間かかり、後者の方が、早く結果が出てくることが多いです。そして、こうした変化は、色々な身体の器官にシグナルサインとして現れています。特に、舌に出ている事が多いのです。だからこそ、歯科医師として、口腔を「ミル」事が重要なのだと思います。

 

この辺の詳細は、拙書「病気の9割を寄せつけない たった一つの習慣」に記述してあります。宜しかったらご一読いただければ有り難いです。