日頃から、クヨクヨして、ため息をついてしまう方へ…漢方による一考察

 

 

ため息は、東洋医学では深い呼吸を意味するので、「太息」(たいそく)とか「嘆息」(たんそく)などと表現します。

 

この体質が関係する最も大きな原因は、肝気鬱結(かんきうっけつ)体質が上げられます。この体質の方は、責任感が強く、完璧主義で、時間を守り何事もキッチリ仕事をこなすタイプです。皆さんの周りにも、一人くらい該当する方がいるのではないでしょうか?

 

まず、下記に上げるチェック項目の中で、該当する所を上げてみて下さい。

 

 

 

 

□ ストレスが溜まって、いつも、キリキリ・イライラしている

□ 口が苦い感じがして、口や喉の乾燥感がある

□ 胸や脇が張って痛い。肋骨の下端がバリバリ張っている。マッサージすると気持ちよい

□ 目が血走って充血しており、普段から赤ら顔の事が多い

□ ため息は、深く大きくついて、音が聞こえる位、はっきりとしている

□ ため息をついた後、何となく気分が少しスッキリして楽な気持になる

もし仮に、上記の項目が、3つ以上当てはまると、「肝気鬱結」体質といえるのですが、これは、西洋医学的には、ストレスに相当します。精神的なプレッシャーによって、身体の中をスムーズに流れる「気」の流れが滞ってしまい、充満した気を、何とか排出する為に、大きな呼気となって、ため息が出てしまうのです。

 

こうしたため息は、口臭の発生という観点で見た場合、やや熱化した息として出てくるので、「肉の焦げた臭」のような臭気が出てきます。

 

そして、気の流れを制御している臓腑は、主に「肝」の働きが関係してきます。肝の気は、目から出てくるので、その排出がスムーズにいかなくなると、眉間にしわがより、険しい顏になってきます。

 

拙書「病気の9割を寄せつけない たった一つの習慣」にも記述しましたが、この肝の気は、自律神経のバランスもコントロールしているので、この体質のまま放っておくと、突然のホットフラッシュ、耳鳴り、不眠、昼夜逆転生活、生理が早く来るなど、様々な所に不調が現れてきます。

 

こうした体質の方には、日常臨床では、気持ちをほぐし、肝の気をスムーズにほぐす漢方薬を処方すると、口臭も少なくなると同時に、ため息をつかなくなり、気持ちも穏やかになって、顔つきも柔和になってきます。

 

以上のような、全人的な体質改善の取り組みは、口臭の抑制だけではなく、性格・人生コントロールにまで及ぶので、養生が進んで、患者さんから「最近、不思議とイライラしなくなった…」などの評価を頂戴した時には、治療家として深い喜びがあります。

 

「肉の焦げた臭」の様な口臭が出てきたら、ストレスを疑い、休みの日は、ストレス発散に努めると良いでしょう。