歩幅が少ないと、「認知症」になりやすい?

 

以前のブログでご紹介した、「Dr.ストレッチ」の施術する担当者から聞いたのですが、近年の学説の中で、「歩幅が少ないと、認知症になる」と説明されました。かくいう私も、歩幅が小さくなり負けており、担当者に「少し自然な感じで歩いてみて下さい」と促され、歩いてみたのですが、やや右足体重で身体の中心線が、やや右にシフトしている事が指摘されました。

 

これには、思い当たるフシがあります。我々歯科医師は、診療の際、患者さんの右側から覗き込むように身体を傾けます。知らない内に、右足体重になり、背骨も右傾斜しがちです。いわば、職業病な訳ですね。

さて、本題に戻りますが、施術担当者から聞いた「歩幅が少ないと認知症になる」と言う指摘は、成程度思うのですが、むしろ、本質的な部分は逆で、実は、

 

「認知症になり始めている人は……歩幅が少なくなる」

 

と考える方が正解の様な気がします。

私は、鍼灸師の夜間専門学校に通っている時に、運動器疾患の勉強もしたのですが、一般に歩幅は、膝と骨盤、足首の動きが連動して一連の動作が成されます。

特に、膝の役割は重要で、東洋医学的には、

伸ばす方向→肝が関与し

収縮する方向→腎が関与し

膝の裏側を走行する経絡→脾(胃)が分布しています。

腎の働きは、子供の発育、骨の成長を司ります。同様に、肝の働きは、筋肉を健常に保ち、血液の代謝を活発にさせます。現代医学では腎臓は尿を作り、老廃物をろ過する臓器ですが、東洋医学では「先天の精」を生み出す所で、生殖能力や性欲にも関係してきます。後天の精は、飲食物の補給で、あまり補う事が出来ますが、後天の精は、親から授かった、予め備わっている生命素の他なりません。持って生まれた体力とも解釈できます。この事から「先天の精」は命の貯金と考えられます。この貯金が底をつくと、骨や関節の動きに渋りが生じてきて、膝の曲げ伸ばし、かかと、腰が病んできます。

房事過多(過剰なセックス)などで、先天の精は枯渇していきますので注意が必要です。

 

一方、膝を伸ばすのは肝が司ります。肝が弱ると、経絡の走行から身体の側面部の痛み、筋肉の引きつり、こめかみを中心とした片頭痛が出てきます。

 

肝の働きは、解毒作用ですから、肝を健常に保つには、身体にとって有害とされているものは、出来るだけ少なくした方が良いです。過剰な薬剤、たばこ、アルコール、食品添加物、有機溶剤(シンナー)などです。

 

こうして、歩幅が少なくなり、腎と肝の働きが衰えると、老化が早く進行し、最終的には「心血」が損耗する事で、認知症の発生のリスクが高じてくるのです。

 

年の近い友人と、外出する機会があり、他の人より歩幅が極端に少なく、歩くペースに付いていけないようでしたら、脾を補い、肝を滋養すると、関節可動域が増えてきますので、今回アップした養生法を参考に、日々の健康に役立ててみて下さいませ。