旧友との再会

20年前から親交のある中国人の旧友の方と、久しぶりに再会しました。梁老子と王老子です。中国で「先生」と言う言葉の表現は、社交の場における男性の尊称として用いる事も多いです。一般的には、「老子」を使う事が多いです。写真のように、両名とも女性の方ですので、やはり敬意を払って老子と表現しましょう。

(写真、向かって左が梁老子、右が王老子です)

 

梁老子・王老子は、私が色彩学に傾倒し、舌色の客観化を研究していた時期に、日本歯科東洋医学会の学会会場に突然訪れてきて、名刺交換しました。どうやら、私の開発した舌診画像システムに興味があるようでした。会場で懇親を深めると、両名は、北京中医薬科大学に所属する梁老子と、同仁病院で漢方臨床を担当する王老子である事が解りました。実は、とんでもなくスゴイ先生である事を後で知りました。

 

 

ひとくちに色と言っても、実は、観察する光源によって見え方は異なります。同じ舌画像でも、白熱電球の下で見れば赤っぽく観察され、蛍光灯の下では、紫がかった色に見えてしまいます。ハロゲン球では、黄色っぽい感じです。これでは、診断の役には立ちません。(下図参照)

 

 

それでは、どの様な条件で見た時の色が、本物の色なのでしょう?これには、チャンと指標が決められていて、国際照明委員会(CIE)と言う機関が、北窓の昼光色で見た物を、そのものの色と定義しています。何の事は無い…太陽光で見た色が、本物の色なのですね。

 

 

 その為に、色を客観的に観察するには、太陽自然光の波長を有する光源(キセノン球)を用意する必要があります。しかしながら、職場環境によって、容易に太陽光を引き込めない場合もあります。加えて、ビームの様な強い直接光ではなくて、ホンワカした拡散光にする必要があります。それらを具現化する為に、球面体の閉鎖した空間の中に光を放ち、他の光源が入り込まないようにする為に、「積分球」と言う装置を考案しました。こうする事で、職場環境が蛍光灯でも、LEDでも影響を受けません。球面体の中には、常に太陽光と同じ環境の光源で観察できます。つまり、中国でも日本でも、同じ測定環境で撮影する訳ですから、舌の色彩の客観化が図られる訳です。

 

 

 

 

 

 

 (この撮像システムで撮影した画像が、右図になります。ひとくちに舌と言っても、体質によって、色々な色と形に変化する事が解ります。)

 

両氏と親交を深める内に、この画像解析システムを中国にも導入したいと言う要請を受けて、18年前に北京に出向き、招待講演で北京の学生相手にプレゼンテーションしました。そして、その時に1台、学校に納品して、同仁病院で中国人の患者さんの舌画像の撮影に用いられました。その後、梁老子は、本機を活用し、中国の患者さんの舌画像を撮影し、その知見を集大成して、2冊の学術書を書き上げました。

 

 

席上、日中友好の懸け橋として、今年、再び北京で講演会をするお話を頂戴しました。梁老子と王老子に恩返しする意味も込めて、是非とも参加してみたいと考えております。