6月6日は、アンガーマネジメントの日です。東洋医学からみた自分の感情ケアの方法。

6月6日は、新約聖書「ヨハネの黙示録」に登場する「獣の数字」666関係する事から、「恐怖の日」と考えられています。これは、映画『オーメン』に出てくる主人公のダミアンの頭にも、「666」の刻印が有りました。

 

昨今、新幹線の車内での惨劇や、我が子の虐待など、また、怒りの感情を爆発させる、悲しい事件が起きてしまいました。

 

アンガーマネジメントとは、1970年代にアメリカで提唱され、怒りの感情と上手に制御する(マネジメントする)ためのメンタル・トレーニングの事です。

自分の怒り仕組みを理解し、感情をコントロールする方法を学びます。さらに、そこから一歩進んで、積極的な思考を生み出し、自分の社会との良好な人間関係を確立させる事が目的となっています。

 

この中で、「怒りの連鎖を断ち切る」という事がとても重要です。

 

 

実は、怒りの感情のピークは「6秒間」であると指摘されています。怒りの感情を、6秒間我慢すれば、違う感情が芽生え、大きなトラブルになる前に、自分の思考を制御できるようになります。

 

それでは、日常生活でアンガー・ストレスを溜めない為に、気を付けている事はありますか?

それは、友人との交流、スポーツ、読書、旅行、グルメ、ドライブなどでしょうか? 

 

日本では、自らを律し、自分に厳しく、禁欲的に頑張る姿勢が美徳とする風潮があります。

「ストレスは、大なり小なり誰もが抱えていて、当たり前…我慢して強く生きなさい」

「根性が足りない」

と言った教えが根強く残っています。でも、それだけではない制御の仕方も有るはずです。

 

悲しい事件が続く現代社会にとって、今一度、東洋医学の視点から「感情コントロール法」を考察してみましょう。

実は、感情が臓腑に影響を与えている?

東洋医学では、「怒り」や「喜び」といった感情が必要以上に働くと、陰陽五行説に相当する臓腑に影響を与え、限界を超えると、その臓腑を痛めると考えられています。

 

例えば、身近な所では、長期間のストレスから食欲不振となり、胃潰瘍に移行するなどです。

 

実は、東洋医学では、人間には7つの感情が存在し、喜び・怒り・思い・悲しい・憂い・恐れ・驚きによる「7情」で構成されます。

 

●「喜」は「心」味は「苦」、病むと、注意散漫、集中できない、眠れないなど

●「怒」は「肝」味は「酸」、病むと、いらいら、頭痛、目赤、過度の興奮

●「思」は「脾」味は「甘」、病むと、食欲不振、慢性疲労

●「悲、憂」は「肺」味は「辛」、病むと、ひどい落ち込み、意気消沈 涙が出る

●「恐、驚」は「腎」味は「塩辛い」、病むと、尿失禁 白髪、膝・腰が曲がる、錯乱

なんとなく思い当たることはありませんか。

 

例えば、

 

宝くじで、3億円の大当たりで、突然、大きな「喜」の感情が沸き起こると、「心」に影響を与えて、頭がおかしくなったり。

お化け屋敷で、突然ビックリしたら、オシッコをちびったり

 

賢い養生法は、その感情と関連性のある臓腑を、補う食材を摂取することで、精神の安定を保つ事が出来るようになります。

 

この、感情と臓腑は、「双方向性」である事が重要です。感情がストレスを感じると、臓腑に病が起き始め、その逆に、臓腑に病が起きると、感情に変化が出てきます。

 

その中で、怒りの感情と、一番密接に関係性のある「肝」をいたわる、養生法をご紹介しておきましょう。

「肝」は、ストレスのダメージを最も受けやすい臓腑です。肝は、「木」に相当し、本来は、樹木のように、上へ上へ伸びやかに進む方が、心地よいと感じる臓腑です。それが、ストレスによって、上から抑え込まれると、鬱屈した状態になり、肝の気の流れが滞り、スムーズに流れなくなります。

 

これを、東洋医学では、「肝気鬱結」、西洋医学では、自律神経失調症などと解釈しています。

 

ストレスによって肝の気が高じると、自律神経のバランスが乱れ「イライラ・キリキリ」した感情が出て「気逆」の症状や、気の巡りが滞り「鬱々する」と、「気滞」の症状が現れます。

 

これらの症状が長く続くと、気が消耗して「やる気が全く出ない」という「気虚」の状態に傾きます。

 

この事から、対策としては、ストレスによって硬くなった「肝」を、柔らかくし、「気」をスムーズに巡らせてあげることが重要です。以下に、怒りの感情をコントロールする養生法をご紹介しておきます。

 

① 肝を補う、酸味のある食材を摂取する

季節に応じて、キウイ、プラム、すももなど酸味の強いフルーツや、リンゴ酢もおすすめです。

② 気持ちの高ぶりを抑え、巡りを良くする香味野菜や柑橘類を摂取する

香味野菜…シソ、ネギ、三つ葉、春菊、にら、ニンニク、セロリ

柑橘類…みかん、グレープフルーツ、レモン、ゆず

③ 入浴や軽い運動で発汗を促し、筋肉に肝血を行き渡らせる

東洋医学における「肝」の概念は、「筋」とも密接に関係しています。運動する事で、筋に血液が巡ると、筋肉を滋養し、ひいてはストレスが発散され、気分も安定します。さらに、入浴は、汗をかくことで、身体に溜まった「邪気」を排出し、副交感神経を高め、リラックス効果も期待できます。

 

加えて、アロマ効果として、気分を落ち着かせるラベンダーや、気の流れを促す柑橘系のオイルを、入浴剤代わりに、お風呂に滴下すると、気分も安定します。