東洋医学を夫婦で考える「不妊」について

私が、東洋医学や漢方処方に興味を持った原因は、私達夫婦が経験した「不妊」に由来しています。34歳で所帯を持って、3年間、西洋医学的な取り組みで、夫婦で不妊治療に取り組みました。その後、西洋医学的な取り組みに見切りをつけて、東洋医学に考え方を切り替えて、自己研鑽により「自力で」「根本から」体質改善を行い、漢方服用後3か月で、長女を授かり、さらに、産み分けにも挑戦して、年子で長男も授かりました。

 

あの時に、もしずっと西洋医学的な取り組みを続けていた場合、どの様な結果が待ち受けていたのか?今となっては、知る由もないです。

 

これからお話しする事は、私達夫婦にのみ起きた現象なので、絶対必ずこうだ!と、主張するつもりもありませんし、西洋医学を完全否定する気もないです。また、私のコピー人間がいて、AとBの両名に別々の治療をして、その結果を検証する事が出来ないので、今となっては、これからお話しする内容に、真理があったのかどうか?についても、もはや解りません。そんな訳で、あくまでも、独り言としてとらえて頂けると嬉しいです。また、特定の思想や団体を否定するものではない事をお断りしておきます。

 

結婚したのが、夫婦ともに34歳比較的遅かったので、もともと妊娠しづらい状態ではあったのだと思います。

私達夫婦が、「自己責任」の上で、自分たちの身体に行った取り組みと、体質改善のやり方をご紹介しておきましょう。

 

その為には、まず、東洋医学における、男女別「妊娠」のメカニズムを考える必要があります。

↓この先は、男女の性的な表現が含まれます。不快感を伴う方は、ここで、退出して下さい↓

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【女性の場合…女子包の役目】女子包は、奇恒の腑の所で解説したように、「子宮」の事です。

① 天癸(てんき)の充足

生殖の中で、天癸(てんき)は、最も大きく関係してきます。

天癸とは、腎の精気が一定量に達すると作られます。おおよそ、14歳の頃から満ち始めます。一般的に性腺が刺激された事により徐々に充足し、女性としての3大性徴が始まります。この天癸が、充分に満ち足りていれば、「生理」と「妊娠」が可能な身体になる訳です。そして、加齢と共に天癸が不足して来ると閉経となります。

 

この事から、正常な妊娠には、まず「天癸」の生成が重要である事が解ります。

 

② 衝脈と任脈の流注を考える

 衝脈と任脈は共に子宮内部から始まります。

衝脈は腎経と共に上昇し、一部、胃経とも交通しています。そして、特に衝脈は、気血の流れを調整しています。前述した天癸は、この衝脈と任脈によって制御されている点が重要です。天癸が充足して、衝脈と任脈にその情報が伝達すると、正常な月経が保たれます。この2つの衝脈と任脈は、女性の生理とも関連しており、上手く機能しなくなると、不妊症の原因になってきます。

 

この事から、不妊のシグナルサインは、衝脈と任脈上にメッセージとして出てきます。

 

③ 「血」と関連する臓である「心」、「肝」、「脾」を養生する

 正常な妊娠は女子包の働きが重要ですが。それを維持するのは、気血の内、特に「血」の働きが重要です。

 

心臓は血脈を主り、肝は血を蓄え、脾は血を生み出す源です。この3つの臓器が正常に働いてこそ、妊娠が起き、しかも、正常な妊娠が維持され、安産へとつながります。血は、飲食物の食養生を注意するだけで達成できるので、明日からでも取り組む事が可能です。

 

【男性の場合…腎精の役目】

① 腎を強化する

男性の場合、不妊でもっとも関係して来る臓腑の働きが『腎』です。腎は、成長発育、骨の成長、老化、生殖機能を管理しています。

 

腎の気力が衰えると、精子量の減少、運動率の低下、奇形率が増えるなどの変化が出てきます。随伴症状として、慢性疲労、足腰がだるい、突発性難聴、冷え・のぼせ、易感冒です。

 

また、腎の役目は、水分代謝、免疫機能、造血機能も担っています。

 

加えて、腎は「精」を蓄えるので、妊娠には重要な意味があるのです。つまり、性欲が旺盛な方は、大なり小なり「精」が満ち満ちている方が多いですが、例えば、アダルトビデオ男優さんのように、普段からセックスをし過ぎると、「房事過多」になって、腎の補充が足りなくなると、後になって大きなツケを払う事になります。

 

また、腎の機能が低下すると、老化が早まります。この事から、腎の働きが衰えてくると、精を蓄えておく力が低下して、最終的には、精子をつくる力も低下してしまいます。

 

② 「気」と「血」を、タップリと補充する

「気」は、男性機能として射精の力に影響を与えます。射精に勢いが無いと、精子が子宮まで届かないので、とても重要な部分になります。特に、1~2回目の射精の精液の中に、妊娠可能となる精子の殆どが含まれているので、射精の力も重要になります。

「血」は、勃起能力に影響を与えます。特に、血が少ないと、勃起の持続力が足りなくなり、充分に精子が満たされない射精になってしまいます。また、さらに足りなくなると、勃起不全(ED)になってしまい、性行為そのものが成り立たなくなってしまいます。

次に腎に蓄えられている精は、両親から受け継がれた「先天の精」と後から蓄えられる「後天の精」に分類されます。

 

③ 先天の精と後天の精

誰でもそうですが、加齢と共に精力は減退して行きます。しかしながら、ある程度、飲食から補充する事も出来ます。これを、後天の精と呼びます。精力の付く食生活も重要な因子です。

これは、イメージとしては、ダイレクトに「精」が満たされると言うよりも。食べた栄養素が、やがて、気や血に変化して、水穀の精微から精が補充される感じです。この事から、「気」と「血」を積極的に生み出す効能のある食事が重要です。

インスタント食品やジャンクフードばかり食べていると、徐々に、「精」が減少します。

④ 湿熱をデトックスする

『湿熱』とは、身体にとって、不要な水分と熱が混ざり合って、体内で病理産物として行き渡り、妊娠の障害になる物質です。

イメージとしては、内燃機関の車のエンジンには、オイルが含まれており、こすり合う部分の動きを円滑にしています。仮にこのオイルが劣化してきたらどうなるでしょう?これが、「湿」の状態です。このまま暫くエンジンが回転していると、湿の粘つきにより、エンジンの摩擦が増えて、徐々に熱を持つようになります。この状態にまで進むと、「湿熱」が身体の中に蓄積してきます。

 

身体がこの「湿熱」を察知すると、何とかこれを排除しようとする反応が出てきます。でも、排出場所である出口はそれほど多くはありません。毛穴、鼻の孔、射精するルート(精路)、大腸~肛門、口腔などが、常にベタベタ、ネバネバしてきます。

この事から、以下のような随伴症状が出てきます。

 

湿疹、皮膚炎、糖尿病、高脂血症、高血圧症、胆石、腎結石、動脈硬化症、うつ病などです。当然、卵管や精路にも摂りつき、こうした管の通りが悪くなり、閉塞の原因になります。さらに厄介な事に、実は、精子は「熱」にとても敏感なので、湿熱が下半身に集中すると、精巣の機能を低下させます。

 

【最後に…私達夫婦が取り組んだこと】(皆様に効果があるとは限りません)

●女性編

① とにかく、女子包を温めました。自力で根本から夫婦で取り組むまでは、カミさんのヘソ下三寸の場所は、手のひらで触れると、氷のように冷たかったです。鍼灸師になった後に知ったのですが、この場所は、妊娠に関わる重要なツボ…【関元】が位置しています。ここを普段から温灸や蒸しタオルで常に温めていました。

② 次に取り組んだのが、排卵場所のマッサージです。あまり知られていませんが、毎月、卵巣から排出された1個の卵は、実は、一度、「腹腔内」へ飛び出します。(右図参照)それが排卵なのです。腹腔内に飛び出た卵子は、卵管の先端にある卵管采でキャッチされ、その後、卵管内で精子と出会うのを待ちます。

 

つまり、卵が排出されても、卵管内にキャッチされなければ、腹腔内で卵はさまよう事になります。

 

婦人科の先生に言わせれば、そんな事は関係ない…と言われるでしょうが、とにかく、排卵の時期に、卵巣の周囲を身体の外からへその方に向かって、受精可能な「元気な状態の卵」を、いち早く卵管に取り込むために、何回も何回もマッサージしました。(学問的な確証はないです)

③ そして、食養生として、腎の気を増すための食材として、くるみ、クコの実、銀杏、もち米、海老、ニラ、牛肉、黒豆、生姜、海苔、昆布などを積極的にとり、生もの、氷入りの飲み物など、身体を冷やす食材は控えました。さらに、市販で売っている「ヨモギ湯」は、お風呂から出た後でも、身体がポカポカして、妊娠しやすい状態を保ってくれると考えていました。

 

●男性編

① とにかく、睾丸を温めない事を注意しました。妊娠を希望する時期は、温泉施設に行っても、あまり長い間サウナに入る事を控えていました。下着もフィットするブリーフ型ではなくて、余裕のあるトランクス型を使用しました。

② さらに、男性機能を高める食材として、粘り気の強い食材、オクラ、納豆、めかぶ、やまいも、さといも、モロヘイヤ、なめこなどを積極的に取り入れました。すると、不思議な事に、精液の性状も変わってきました。食養生に取り組む前の精液は、平らな所に垂らすと、水っぽく広がって、いかにも元気がない感じでしたが、食養生をしてからは、レンズ上に強く盛り上がって、上手く表現できないですが、片栗粉のように、プリップリ・キョロキョロした感じになり、もしこの時に中を顕微鏡でのぞいたら、線香花火のようにパチパチして、元気に飛び跳ねているような、そんな感じでした。

 

こうした取り組みを3カ月間継続した所、第一子となる長女を授かりました。ついで、もう一度、東洋医学の文献を調べ上げ、今度は、産み分けにも挑戦したら、すぐに年子で長男も授かりました。この産み分けに関しては、また別の機会にご紹介しようと考えています。

以上が、私達夫婦が取り組んだ、不妊への挑戦の記録です。何かの参考になれば幸いです。