2冊目の出版プロジェクトが始まりました。

私の初めての出版『病気の9割を寄せつけない たった1つの習慣』が上梓してから、もうすぐ2年になります。

この本を出版した事で、本当に多くの方との新しい出会いがあり、今まで以上にビジネスのお付き合いが広がりました。その点では、大成功…と言えます。

 

その時の担当編集者から寄せられた本のコンセプトは…、

「東洋医学における気・血・水、陰陽五行説、虚実・寒熱などの、専門用語を用いないで、東洋医学の本を書きましょう。」

 

と言う話でした。最初、私は…、

「それは、難しいです。」と、お答えしましたが、半年悩んだ末に、ハッとひらめいて、

「別の言葉に置き換えて、表現すれば良い」と言う事に気付いてから、ようやく筆が進むようになりました。

 

お陰様で皆様からは、とても解り易く、スラスラ読めた…と言う評価を頂戴しています 

ただ、私の中では、自分の専門分野である、「口臭」や「唾液って凄いんだぜ!」と言う部分に関しては、まだ充分に吐き出せていない所が有り、何となく消化不良の様なモヤモヤ感は残っていました。

 

くしゃみで言えば、「ハッ、ハ、ハ…ハクション!」とはならずに、ハクションの手前の「…」の部分で止まった感じで、何ともスッキリしない部分がある訳です。

 

もっと、自分のビジネスに直結した形で、「口臭」について、思いっきり書いてみたい!と言う「くすぶり」は、ずっと抱えたままでした。

 

 

そんな折、再チャレンジの機会が私の元に舞い込みました。何とか企画書を練り直し提出した所、出版へのハードルをクリアできたので、本当に有り難い事に、2冊目の出版の機会を得たのです。今度は、口臭に関して、もっと掘り下げた形で、メッセージを込める事が出来そうです。

 

ただし、出版に際して「企画書」の段階で、解り易く良質な本に仕上げるために、超えなければならない幾つかのハードルがある事が解ってきました。

 

 

1. いちばん重要な本のタイトルに、「口臭」と言う言葉を入れてしまうと、リアルな書店で、手に取って買う事が、少し躊躇してしまう所があります。この事から、口臭と言う言葉とは違う別の表現で、読者にイメージを伝える必要があります。

 

2. 仮に「口臭」と言う文言を使うのであれば、リアルな本よりも、もしかしたら「電子書籍」の方が、読者との相性が良いかもしれない事も考えています。

3. 類書を調べた時に、「口臭」を題材にした本の中で、ベストセラーになっている本が存在しない事も重要な指標になります。一般に、出版業界では、3万部で及第点、10万部を超えたらベストセラー、100万部越えは、年間に数冊程度と言う評価になります。

4. なぜ、口臭と言う題材では、部数が見込めないのか?と言う、本質的な問題をクリアしなければならない点。

 

これらの問題を解決する為に、出版プロデューサーの方や、メディアコンサルの方、最初の本を担当して頂いた編集者の方にお伺いを入れました。

 

その中から、幾つか、とても示唆に富む回答を得ました。

1. まず、口臭を治したい!と、考えた場合、とりあえず「こっそり、お手軽に取り組みたい」と言う心理が働きます。実は、口臭の市場性を考えた時、それは、洗口液、サプリメント、ガムなどの対策用品の需要が存在するだけで、消費者(読者)の意識として、それ以上の情報を、あまり望んでいないのではないか?という事が伺えます。

 

2. この事から、本の追い求める「皆様にとって本当に役に立つテーマ」とは、口臭が出た!と言う「結果」で書くのではなくて、その前の「原因」の部分で論じないと、読者には響かないと言う事が考えられます。仮に結果である「口臭」で書いてしまうと…、

「でも、結局最終的には、先生の所に行って、治さなければならないんでしょ…」と言う所で完結してしまうからです。

 

3. 普段、私は、治療に必要なヒントは、「全ては、患者さんが教えてくれている」と、皆様にお伝えしています。

 

実は、出版に必要な題材も、日々の臨床の中で、患者さんが教えてくれていたのです。

私は患者さんから寄せられる、以下の声を全く見逃していました。

「なぜ、一所懸命、歯を磨いているのに、口臭が出てしまうのですか?」

「私の口臭の原因は、何なんですか?」

ここに、次の本のテーマが隠れているような気がします。

 

 

4. 確かに、「結果」で本を書く事は簡単です。私の手元には、14年間で4000人の患者さんから得た多くの知見があり、読者の皆さんにお届けしたい情報が山程あります。また、一人の著者として考えた場合、「私はこんなに多くの経験があり、他の著者が気づいていない視点で本を書いていますよ…」と言う、専門知識を披露したい欲求もあります。しかしながら、読者にとっては、そんな事はどうでも良い事なのだ…と、1冊目の本の執筆で解りました。

 

5. 「結果ではなく…原因で書く」   解り易い例を上げましょう。

例えば、競馬をイメージしてみて下さい。年の瀬に行われる有馬記念と言うレースがあります。去年は、「キタサンブラック」と言う馬が1着を勝ち取りました。

 

翌日のスポーツ新聞には、「結果」に対する考察を、競馬評論家が色々な視点で解説しています。前日の雨で馬場が重かった、最後の上り坂で強いのはこの馬だった、騎手と馬の相性はこの馬がベストだった、などなど、色々な理由が加えられます。これらは、結果が出た後の「後追い記事」なので、スポーツ新聞:100円程度の価値しかありません。

 

でも、仮にこれが、レースの前日に結果につながる「原因」を全て調べ上げ、100%確実な当たり馬券を予想した小冊子が有ったとしたらどうでしょう?

 

皆さん、高いお金を払っても、その本を買い求めるでしょう。

いきなり、ベストセラーです。

 

結果が出た後の、翌日のスポーツ新聞は…「フーン、そうだったのか」という物ですが、

前日の確実な予想が書いてある冊子は…「エッ、マジか!」という物になるはずです。

 

繰り返しになりますが、

「結果ではなく、原因で本を書く」この部分は、本を執筆するにあたって、死ぬほど重要な部分だと思います。

 

6. この事を、別の視点で考えると、結果が出てから「知る」のではなくて、原因の段階で「やる」と言う内容で書いた方が良いのではないか?とも考えています。拙書「病気の9割を寄せつけない たった1つの習慣」は、自分体質を「知る」本でした。そこから先、どうするか?の「やる」に関しては、イマイチ踏み込んだ内容になっていませんでした。

 

 

7. 現在、幾つかの本のタイトルが上がっています。それは、公開前なのでオープンには出来ないのですが、かなりイケてる…と言うアイディアも出ています。これから、ひとつひとつ言葉を紡いで、ひねり出して、絶対にリベンジを果たしたいと考えています。