何回見ても…凄すぎる

私は、小学校から中学卒業するまでの時期に、手品やマジックを趣味にしていました。大手百貨店のおもちゃ売り場には、マジックコーナーがあって、大人のマジシャンが実演販売をしているので、目の前の「かぶりつき」に場所を陣取り、食い入る様に目にしていました。

 

スゴク興味がわいた手品の演目を、親におねだりして、買って帰って、実際に自分でも演じられるように、何回も何回も練習したものでした。

 

身近な所では、「テンヨー」と言うメーカーが、小箱に入った手品用品を販売しています。気が付いた頃には、30個ほどになっていました。

ただし、学校のお楽しみ会など、人前で見せる目的は全く無く、自分一人で指先のテクニックを磨き、自分だけの「秘め事」として、密やかな楽しみにしているだけでした。

 

現在では、大掛かりなステージマジックのイリュージョンや、カードやコインを使ったテーブルマジックなど、その演目を見れば、おおよその「タネ」が伺える程になりました。

 

そんな中で、この動画を見てみて欲しいです。

https://youtu.be/CvzMqIQLiXE

国際マジック団体連合が、3年に一度開催するInternational Federation of Magic Societies(FISM)釜山大会2018のクロースアップチャンピョンに輝いた、エリック・チェン氏の演目です。

 

6分程度のビデオなので、是非、一通り見てみて下さい。

 

さすが、チャンピョンになるだけの事はあります。ものすごいテクニックです。一部は、「こうやっているだろうなぁ?」と解りますが、それでも、相当凄いことに変わりはありません。最初見た時は、画像編集やCGを使っているんじゃないか?と思いましたが、間違いなく、実際に演じているのです。

 

コインを使ったスライハンドパフォーマーとして、驚異的なマジシャンのエリック・チャンは、世界のマジシャンにも衝撃を与え、称賛と感銘を与えてきました。このブログは、「種明かし」をする事を目的としていませんが、恐らく、

 

リテンション・バニッシュ(retention vanish)と言う手法を、高度に進化させて応用しています。

 

改めて、動画を視聴してみて、如何でしたか?…もはや、種明かしなんかは、どうでも良くなってしまう位のパフォーマンスです。1枚のトランプやコインを用いた消失テクニックとしては、世界最高だと言わしめたのが良く解ります。

 

 

ところがです!…なんと・ナント…

 

 

エリック氏、自らが、その種明かしを公開したDVDを発売してしまいました。

「コイン・テクニックレクチャー」です。

 

■コインテクニックレクチャー■COIN by Eric Chien

 

これは、何を意味しているのでしょうか?

 

一昔前であれば、手品の種明かしは、業界ではご法度でした。むしろ、発案者にお金を払ってタネを分けてもらい、大切に演じていくというのが習慣でした。

 

それでは、なぜ、エリック自身が、リテンション・バニッシュの技を公開したかと言うと、私は、近年のネット社会におけるSNSの発展に原因があるのではないか?と、考えています。

 

試しに、Youtubeなどの動画サイトで、「手品 種明かし」などのキーワードで検索をしてみて下さい。多くの投稿者が、ネタバレ動画をアップしています。人体切断や自由の女神の消失イリュージョンも、全て種明かしが公開されてしまっています。

 

インターネットとSNSが高度に発展した現代社会では…、

どんなに秘密を守ろうとしても、「どうせ、誰かが、種を明かしてしまうのです」

 

だったら、演者自らが種を明かして、DVDなどを作成して動画販売をした方が、懐に入って来る利益は増えるはずです。

 

しかしながら、例え「ネタバレ」を知ってしまっても、彼の演目が色あせる事はありません。

このネタバレ・ビデオからは、「やれるもんなら、やってみろ!」と言う、エリックの声が聞こえてきそうです。それにしても、おおよそのタネが解ったとしても、何回見ても超絶テクニックは凄過ぎます。

 

SNSが、マジックの世界の「鉄の掟」も変えてしまったのですね。

 

実は、イグノーベル賞と同じように、国際マジック団体連合(FISM)には、日本人のマジシャンも多数参加して、入賞を果たしていますが、なかなか、グランプリを獲得する程には至っていません。そう言えば…、

 

マジシャンに会いたければ、「東急ハンズ」に行ってみろ。

 

と言う笑い話があります。スーパーマジシャンの方々が、

「この道具が、こんな不思議の演出の役に立つんじゃないの?」と言う目線で、四苦八苦しながら物色している様子は、何か微笑ましい物がありますね。

 

これからも、是非、誰も思いつかなかった、超絶不思議なマジックを披露してもらいたいものです。