「舌診」に取り組んで30年、キリンの舌の色は…○○だった

 

新年早々、留学先から帰国した娘が、温泉に行きたい…と言う希望が出たので、旅行情報サイトの「一休.com」で検索をして、東伊豆の「SAZANA」と言う温泉旅館に出向きました。

 

道中、「伊豆アニマルキングダム」と言う動物園に立ち寄り、去年のアルパカさんに引き続き、今年も、色々な動物に会ってきました。その中で、私の目が、一点に集中したのが…。

 

キリンさんへの餌やり体験でした。

 

園内で買った小松菜をキリンに差し出すと、長い舌を使って、器用に受け取って口に運びます。キリンの舌は長く伸ばすと、50cmも出てきます。

東洋医学を臨床に取り入れて30年、口腔領域の専門家として「舌診」の重要性を説いてきました。

 

職業柄、どんな時でも、舌を見てしまうと、無意識にその方の舌診をしてしまうクセが見に付いています。テレビを見ている時に芸人さんがアカンベーをした際も、アダルトビデオの女優さんが、舌を出して色々なプレイをしている…一番良いタイミングの時でも…悲しいかな、舌診をしてしまうのです。

 

そんな折、運良くキリンさんの舌を見る機会が訪れました。どれどれと拝見すると、

 

ナント、何と…『紫舌』ではないですか!

 

拙書「病気の9割を寄せつけない たった一つの習慣」の中で解説した、ドロドロ血タイプの舌をしているのです。これを、東洋医学では「お血」(おけつ)といいます。しかも、よく見ると、舌の上に「お斑」(おはん)と言う、紫色の点点まで確認されるではないですか!

 

人間の場合、紫舌になると、慢性疲労、末梢循環不全、下肢静脈瘤、シミ・そばかすなど肌の色素沈着、女性の方の場合は、生理不順、不妊症、口腔内においては、歯周病、口臭、歯肉の色が黒くなるなどの随伴症状が出てきます。

 

どうして、キリンさん…紫舌なの? どこか身体の調子が悪いの?

 

と思って、他のキリンさんも見てみましたが、皆が一様に紫舌なのです。「舌ウォッチャー」の私としては、黙っている訳にはいきません。色々調べてみると、多くの事が解ってきました。

 

 

【キリンの舌が紫色の理由】

1.草食動物であるキリンは、舌の先を大きく伸ばして、葉を絡み取り口元へ運びます。その時に、粘膜である舌は、常に太陽光線の紫外線にさらされます。すると、日焼けした肌が黒ずむように、舌の表面にもメラニン色素の沈着が起きてきます。その為に、紫色に変化して来るのです。そして同時に、この色の濃さは、紫外線そのものも防ぐ効果があります。サングラスや日傘の色が黒い事からも、それは解ります。

 2.このメラニン色素の沈着には、もう一つの作用があります。実は、舌の脆弱な粘膜を感染や傷がつく事から守ってくれる作用もあるのです。以前、私が大学生の頃、まことしやかに、こんな俗説が流布された事があります。

「遊び人の女の子の…乳首は、黒ずんでいる」

これも、本来は敏感で薄い粘膜が、使い過ぎた事でメラニンが沈着して、色が黒くなる事を指して、このような噂が流れました。そういう観点で、もう一度キリンさんの写真を見てみて下さい。付け根の方は、私達と同じように、ピンク色をしていますね。恐らく、この色が、本来のキリンの舌の色だと思います。

 

キリンの舌が紫色なのは、東洋医学的なドロドロ血体質とは異なり、日焼けによる変色とメラニン色素による粘膜保護が理由のようです。