東洋医学で考える…臓器の形と食材の形の不思議な一致について

 

世界で最古の医者であるヒポクラテスは、食事に関して、以下のような教えを残しています。

「汝の食事は薬であり、汝の薬は食事となる」

「食べ物で治せない病気は、医者でも治せない」

 

これぞ、食養生の基本ですね。東洋医学にも同様の記載があり、『素問』と言う古典には、

「聖人は既に病みたるを治さず、未だ病まざるを治す」(四気調神大論篇)と説いています。

これは発病前の状態、つまり「未病」の段階で、病気の症状が起きる以前の生理状態を調整する事が医療の本質であり、理想であるという考え方です。

 

私達が普段から口にする食事から派生した食養生には、

● 食物の摂取方法に関するものと、

● 食物に薬効を期待する方法の二種類に大別されます。

 

前者は、季節や風土に応じて収穫された「穀・菜・果・肉」から、酸っぱい・苦い・甘い・スパイシーな辛味・塩辛い味の「五味」を、バランスよく腹八分目に栄養素を摂取する…と言う考え方です。

後者は、医食同源とも解釈され、飲食物や香辛料の中で、生薬の効能も併せ持つ食材を料理に積極的に活用して、体質改善をする方法論です。

 

こうした食養生ですが、いざ、取り組もうとなると…、

自分にとって、「何を食べたらよいか?」について、思い悩む事と思います。

実は、食養生の基本は、とてもシンプルです。

それは、その食材の形から連想させる…臓腑を選んで食べるだけで健康になれるんです。

例えば、普段、飲み過ぎで、肝臓に負担がかかっているな…と思えば、「肝臓の形に似た」食材を食べるのです。これなら簡単で、誰にでも気軽に取り組めると思います。

 

今回のブログは、お伝えする内容が豊富にあるので、複数回に分けて、シリーズ化してみようと思います。

 

① 落花生

下図をご覧ください。落花生です。これは、パッと見た時、どんな臓腑に見えますか?

もう、見たまんま…肝臓ですね。

 

主な肝臓の働きは、生命を維持するための、エネルギー変換作用、解毒作用などがあります。肝臓の機能を正常に保つ為には、必要以上に解毒作用の負担をかけない食生活が重要です。

近年では、食事性脂肪を活用して肝臓機能を高める研究が盛んになっています。

一例を上げれば、肝臓に蓄えられる脂肪酸の生成は、食事から摂取した脂肪に由来しています。そして、この脂肪酸は、肝臓の中で再びグリセリンと一緒になって、中性脂肪に変化します。最終的にこの中性脂肪が肝臓に蓄積されると、肝機能は徐々に低下してしまうのです。

その中でも、特に「食事由来脂肪(酸)」としておススメなのが、「オメガ9オレイン酸」です。これは、酸化の影響が少なく、肝臓の脂質代謝を促進してくれます。

 

そして、このオレイン酸を豊富に含む食品が「落花生」なのです。

 

特に、落花生の薄皮に含まれる、渋みの成分であるポリフェノールは、肝臓を保護してくれる抗酸化作用も併せ持っているので、薄皮ごと食べると、なお効果的です。

 

② にんじん

お次は、ニンジンです。何の形に見えますか?特に、輪切りをした時に、その断面を見ると、目の虹彩に酷似しています。

 

ニンジンには、ビタミンAが豊富に含まれ、網膜の栄養 夜盲症の予防(とり目)、視力低下の予防、白内障の予防を目的とした場合、人参なら1/2本程摂取します。南瓜やほうれん草緑黄色野菜の一日の摂取量は、200g~250gが理想とされているので、併せて食べると効果的です。

 

③ そら豆

最後は、そら豆です。こちらはどうでしょうか?これも、見たまんま…腎臓ですね。

 

そら豆には、特にカリウムが豊富に含有しています。100gあたり、400mg程度含まれています。このカリウムは、身体の中の余分なナトリウムを、体外に排泄する効果があり、腎臓のろ過機能の負担を軽減してくれるのです。この事から、むくみの解消・高血圧の予防に効果が見込めます。さらには、カリウムは筋肉を正常に動かすための必須ミネラルでもあるので、不足しないようにしたい所です。

 

季節の食材をスーパーに買い出しに行った時に、臓腑の形をイメージして、食卓のメニューに彩りを添えてみるのも良いでしょう。