東洋医学で考える…臓器の形と食材の形の不思議な一致について、Part2

 

先月に続き、食材の形と似ている臓腑の検証を加えてみましょう。

 

① クルミ(胡桃)

下図をご覧ください。クルミです。これは、パッと見た時、どんな臓腑に見えますか?

もう、見たまんま…脳味噌ですね。

 

外側の硬い殻が、頭蓋の骨のように見える所まで、酷似しています。

 

生薬では、クルミは胡桃肉(ことうにく)、又は、胡桃仁(ことうにん)と言われています。味はやや甘みがあり、身体を温め、肺・腎経の疾患をを主治します。主成分は、脂肪油(linoleic acid)、タンパク質、ビタミン類を多く含有しています。

特に、

肺経に由来する、利尿、通便、鎮咳、滋養強壮作用があり、

腎経に由来する、腰痛、膝痛を緩和します。

 

また、薬膳漢方では、その形が、脳ミソに似ている事から、「健脳の木の実」として用いられています。脳を滋養して、アルツハイマー病や認知症の予防に効果が見込まれています。

また、西洋医学からみても、強い抗酸化能力があり、アーモンド、ピーナッツ、カシューナッツの木の実類の中では、特に強い抗酸化力を有しています。加えて、オメガ3脂肪酸が豊富に含まれている事から、循環器の心臓血管障害を予防すると言われています。

銀杏の葉エキスの所でも触れましたが、EU諸国ではクルミには、「血管をしなやかに保つ」という機能性表示が認可されています。

また、クルミは殻のまま2個用意して、手のひらでガラガラ音が出る程にこすり合わせてコロコロ転がせば、脳にツボ刺激を与え、やはり、認知症の予防にもつながるとされています。

 

② ショウガ(生姜)

こちらは、何に似ているでしょうか?ゲンコツのような形から、「胃」の形をイメージさせます。

 

実は、ショウガには「マンガン」というミネラル分が含まれており、肝臓の酵素作用の働きを活性化したり、骨の成長促進や滋養強壮、免疫力を鼓舞したり、虚弱体質の改善に効果が見込めます。

 

特に、ショウガの辛味成分は、「ジンゲロン」と「ショーガオール」という成分です。

 

ジンゲロンは身体にピリッとした刺激を与え、気の流れをシャキッとさせます。この事から。胃の血流を促して、胃液の分泌を活発にさせます。

 

総じて、食欲を増進させ、消化機能を高めます。また、身体を温め血行を良くし、適度に発汗を促します。風邪の引き初めに、生姜湯などを摂取して、一回汗をかくと、外寒表証が改善し、風邪の邪気が、身体の中に入り込むことを防ぎます。

 

加えて、抗菌作用もある事から、生ものなどを食べた後の、食中毒を予防する効果もあります。さらに、ショーガオールには酸化防止作用があり、魚の生臭いアンモニア臭を少なくさせたり、臭いの強い料理に隠し味で混ぜる事で、嫌なくさみを除去します。

 

この事から、漢方薬に用いる「生姜」(しょうきょう)として重用され、健胃、嘔吐予防、鎮咳、胃のムカつきに効果があります。また、新陳代謝を活発にさせ、身体を温陽し、冷え性、腰痛、腹痛にも効果があります。

 

 

③ いちご

今月の最後は、イチゴです。特に、その断面は何に見えるでしょう?

そうです。私に一番関係した、歯冠・歯根・歯髄の歯の全体像にソックリです。

 

実は、イチゴには、虫歯予防に効果的なキシリトールが豊富に含まれています。過去の論文で、北欧の小学校で、昼食後にイチゴを食べる実験をした所、疫学的な調査で、歯科検診の際に虫歯の本数が減ったという報告も出ています。

 

このキシリトールは、野菜や果実にも含まれる天然の甘味料で、歯の表面を溶かす酸を生み出さない糖分です。キシリトール入りのガムを食べるより、食材から摂取する方が、歯を強くする効能が高いと言えます。