東洋医学で考える…臓器の形と食材の形の不思議な一致について、Part3

 

先月に続きこの企画も3回目です。もっと、食材の形と似ている臓腑の検証を加えてみましょう。

 

① グレープフルーツ

下図をご覧ください。今までは、臓腑の形に似ている食材は、身体とのマッチングが良い…と言う主旨でご案内してきましたが、実は、食材の中には、逆に摂取しない方が好ましいという物もあります。

 

今回は一例として、こうしたパターンもご案内しておきましょう。

 

グレープフルーツの輪切りの断面です。何に似ているでしょう?

 

何となく、乳腺の形に似ていますね。

実は、女性の方(特に閉経後)は、本食材を過剰摂取してしまうと、乳がんのリスクを上げてしまうので注意が必要です。

 

南カリフォルニア大とハワイ大による研究機関で行った疫学的な調査で、イギリスの British Journal of Cancer に掲載されレポートによると、閉経後の女性5万人にグレープフルーツをどのくらい摂取するかを調べた所、毎日4分の1個以上食べる人は、全く食べない人より30%程、乳がん罹患率が高かい傾向を示しました。

特に、乳がんの発生を促す「エストロゲン」の代謝を促進する「シトクロム」の働きをグレープフルーツが抑制してしまう可能性があるのです。シトクロムとは、細胞内の酸化還元に重要な働きをする色素です。

 

その他、グレープフルーツは、抗がん剤を含め多くの薬物は、体内の酵素で分解されて、目的の血中濃度になるよう設計されていますが、グレープフルーツは、その酵素を阻害する作用があるので、血中濃度が高くなりすぎてしまい、副作用が強く出てしまう事があるので、グレープフルーツを摂取しない方が良い薬剤は意外と多いのです。

 

 

② トマト

イタリアでは、その形が似ている事から、「牛の心臓」と言うトマトの種類もある位です。トマトが新鮮かどうかの目安に、ヘタの部分と反対側の、トマト先端部が、尖がっている方が品質が良いと言われています。その観点で見ると、益々、心臓の形に似てきますね。

 

トマトには、ビタミンAになるβ-カロテンを多く含んでいます。以前のブログでもご案内しましたが、抗ガン作用と免疫力を活性化する働きがあります。その他、視力の維持増進、粘膜や皮膚の細胞のターンオーバー促進、加えて、喉・肺などの呼吸器を健常に維持する働きもあります。

●トマトのリコピンとは

真っ赤な血の色にも見える、トマトの赤い色素は、「リコピン」です。これは、β-カロテンとは異なり、実は、ビタミンAには変化しません。しかしながら、リコピンは、活性酸素の発生を阻害する働きがあり、その効果は、β-カロテンやビタミンEよりも、何倍も高い事が報告されています。

 

●トマトに含まれる脂肪燃焼効果があるリノール酸

トマトの果汁の中には、実は、脂肪を燃焼させる遺伝子を活性化する「リノール酸」が含まれています。この成分は、肝臓で脂肪燃焼に働くタンパク質が多く作られる事で、血糖値の上昇を引き下げる効果があります。

 

③ ぶどう

最後は、ぶどうです。これは何に見えるでしょうか?

実は、ヒトの肺は、全体で見るとエアバッグのように袋状をしていますが、その末端には、「肺胞」と言う組織が存在し、ブドウの房状の形をしています。これは、もう見たまんま、「ぶどう」そのものですね。

 

ぶどうの成分には、ポリフェノール類の他に、カリウム、亜鉛、鉄分など、微量なミネラルも含まれています。これらは、肺胞が酸素を全身に運ぶ働きを強め、肺疾患や肺がん発症のリスクを軽減すると言われています。その中でも、ぶどうにしか含まれない強力な抗酸化成分である、「ブドウOPC」という成分が、血管を保護して動脈硬化の進行を予防する事が報告されています。

 

この作用は、ブドウから作られたワインにも認められ、健康増進に良い酒類と考えられています。