顔色で解る…健康の見える化

 

東洋医学では、古来より陰陽五行説があり、神羅万象、木・火・土・金・水の5つのエレメントで構成されていると解釈しています。

 

「木」は→「火」で燃えて→「土」となり→土中の鉱脈には「金」が溜まって→やがて、その金は「水」脈を通じて、この世に出てきます。その水脈は、やがて、再び植物をはぐくみ「木」を生み出します。この一連のサークルの繰り返しにより、地球や生命の営みは循環しています。

 

私達の身体もこの概念に当てはまり、木(肝)・火(心)・土(脾)・金(肺)・水(腎)に相当します。これらを体系的にまとめた物として、「色体表」があります。

●豆知識…脾は、現代で解釈すると、広く胃の活動に相当します。

 

上図に示した色体表のように、身体の中の臓腑の変調は、真っ先に…「色」として現れてきます。

 

このシグナルサインのメッセージは、特に「顔色」として出てきます。

以下に『顔色で解る…健康の見える化』を、色ごとに解説してみましょう。

 

 

1.顔色が青っぽい…クヨクヨタイプ

 

漫画の一コマで、イライラっとした主人公のおでこに、怒りが込み上げてきた時の青筋が立った表情を見た事があるでしょう。

これを、東洋医学では、「肝気うっ血」体質に傾いていると解釈しています。

 

怒りは、「肝」の臓器にダメージを与え、血液を生み出して浄化する働きが衰えるので、静脈血を青色に変化させます。この変化が顔全体に出た時に青く変色させるのです。

 

このタイプの方は、大事な時に溜息をついて、クヨクヨ物事を考えてしまい、「決断が出来ない」人生を送ります。

 

随伴症状のチェック項目は、以下にあげられます。該当する項目が多い程、この体質に相当してきます。(注意…ひげが濃い方も髭剃り後に、顎を中心に青く変化する時がありますが、これは、毛の色の切り口が、皮膚を通じて青く見えているだけなので、この体質には該当しません。)

 

□些細な事でイライラしやすい、□ふくらはぎがつったり・瞼がピクピク痙攣する

□情緒不安定の傾向がある、□下肢静脈瘤がある、□不眠・熟睡感が無い、よく夢を見る

□肋骨の下が固くこわばり、胸や脇が張って息苦しい、□朝の寝起きが悪く、気分がだるい

□お腹がゴロゴロ張って、頻繁にガスが出る、□普段から口が苦い、□片頭痛もち、

□めまい・立ちくらみが出る、□女性の場合は生理が不順、□肩がバリバリ凝りやすい

□生理前に胸が張ってつらい、□目が疲れやすい、□眉間にシワが寄り表情が険しい、

□生理痛が出る、□目がかすむ・視力が低下してきた、□下痢と便秘を繰り返す、

□爪がもろく、縦線の割れ目が出やすい、□酸っぱい食事が好み、□春先に体調が崩れやすい

 

 

2.顔色が赤っぽい…イライラタイプ

 

近年、煽り運転などで、急に逆上してしまう方がいます。体の中が、瞬間湯沸かし器のような状態にあるので、熱化して顔色が赤く上気してきます。この赤色の変化は、怒りだけではありません。実は、宝くじで大当たりが出た時など、喜び過ぎて興奮した場合も注意が必要です。

 

チェックリストは、以下にあげられます。

普段から、感情の上下に気を付け、気持ちを平静に保っておく事が肝要です。

このタイプの方は、イケてるときは、頼り甲斐があって親分肌ですが、気に入らない事があると、怒りに任せて、対人関係でトラブルを抱えがちです。

 

□動悸・息切れ、□いつも不安感や焦燥感を感じている、□脈が飛んだり、不整脈が出やすい、

□何となく胸苦しい・胸に圧迫感を感じる、□突然怒り出す・ヒステリー持ち、

□すぐに汗をかく・オデコに冷や汗をかく、□ろれつがまわりにくい・言葉に詰まりやすい

□悪夢をよく見る、すぐに入眠できない、□口内炎が出来やすい、舌がただれる(舌炎・潰瘍)、

□朝早く目が覚める、□舌先・舌の側面がヒリヒリ・ピリピリ痛みを感じる、灼熱感がする、

□ボーとした感じになりやすい、もの忘れをする、□舌先が真っ赤になる、

□舌を真っすぐ出せない・どちらかに曲がる、舌が細かく痙攣している、□のぼせやすい

□食材の中で、苦いものを欲しがる、他人よりも苦みに耐性がある、□頭がフラフラする、

□夏場の暑さに弱い、□赤ら顔になりやすい、□猛暑で体調が崩れやすい

 

 

3.顔色が黄色っぽい…ウジウジタイプ

 

この顔色の方は、身体の中に「痰」とか「湿」と言う物を溜め込みやすいので、性格が「粘着質」です。顔色が青いタイプは、クヨクヨしがちですが、こちらのタイプは、ウジウジして、いつまでも不安が付きまとい、思い悩むタイプです。

 

女子会で、恋愛相談に乗ってしまったら、いつまでも、同じことを繰り返し、ネチネチと絡んでくるので注意が必要です。

 

何となく、会話の声質も鼻声で、あのね…とは言えずに「あん・のん・ねん」のように話す方が多いです。食に関してもグルメな傾向があるので、イメージとしたら「有閑マダム」のような感じです。

 

最初の内は、美食家である事が多く、インシュリンを生み出す膵臓に負担をかける傾向にあるので、糖尿病になりやすいタイプとも言えます。膵臓の機能が衰えると、黄疸も出やすいので、顔色も黄色くなりやすいのです。

 

チェックリストは、以下も物が上げられます。

 

□食欲がわかない、□常に疲れている、重だるい、□なかなか消化しにくい、胃に留まる、

□やる気が出ない、□食後に胃が張った感じがして、チャポチャポ感がある、

□顔色が黄色い、□ゲップが良く出る、□疲れると甘いものが無性に欲しくなる、

□どちらかと言うと、痩せている・食べても太れない、□ムカムカして嘔吐感がある、

□思い悩みやすい・思い込みが強い、□胃下垂が出やすい、□下半身に浮腫みが出やすい、

□よだれがよく出やすい、□口の中がねばる、口臭が出やすい、

□内臓のけん引力が低下する(脱肛・子宮脱)、□味覚が鈍感で、繊細な味が分からない

□水分の過剰摂取で体調が悪化する、□唇や口の周りがよく荒れる、皮がむける、

□部屋の湿気に弱い、□下痢・軟便傾向、□お腹が冷えやすい

□梅雨時や湿度の高いジメジメした夏場に体調が崩れやすい

 

 

4.顔色が白っぽい…シクシクタイプ

 

こちらは、今は少なくなりましたが、結核を患った人をイメージしてみて下さい。咳き込んで虚弱で、生気が感じられず弱々しい感じです。東洋医学では、肺が病むと、「気」を作り出せなくなります。加えて、肺は呼吸器なので、深呼吸をする事で、スプレーの様に全身に気を散布する働きがあります。この機能が衰えるので、顔色が生気を失って白く変化してくるのです。

 

このタイプの方は、とても感受性が高く、少しの事で涙を流します。それも、嗚咽するような大げさに号泣ではなくて、シクシクと耐え忍んで泣くようなイメージです。

 

もともと肺は、風船のような空洞の臓器です。何となく透明な白い感じを受けますね。

 

性格は、社交的な人生よりも、孤独を愛し、休みの日に自宅で詩集を読みながら、秋の夜長に感傷に浸りながら思いをはせるような人生を好みます。

 

チェックリストは、以下の様な随伴症状を示します。

 

□すぐに風邪をひく、□少し動いただけで息切れがする、□大きく息が吸えない、□喘息もち、

□免疫力が弱く、感染症にかかりやすい、□顔色が色白、顔面蒼白、□くしゃみ・咳がでる、

□肌質が薄い・敏感肌、□鼻水・鼻づまり、鼻炎傾向、□乾燥肌になりやすい、

□痰が出る・痰がらみでスッキリしない、□肌荒れ・化粧の乗りが悪い、

□慢性アレルギー性鼻炎・花粉症になりやすい、□蕁麻疹・アトピー性皮膚炎になりやすい、

□冬場に鼻の中が乾燥する、□汗をかかない、□のどが乾燥する、□浮腫が出やすい、

□のどがイガイガして痒い、□便秘傾向、□皺がれ声になりやすい、□辛い味が好き、

□咳が止まらない、□乾燥する季節に弱い、□秋に体調を崩す

 

 

5.顔色が黒っぽい…ドキドキタイプ

 

腎臓病を患い、透析を受けるようになると、顔色が、黒っぽく土色を呈します。これは、西洋医学とも整合性がありますね。

このタイプの方は、驚きやすいです。お化け屋敷などに行くと、必要以上に恐怖を感じてしまいます。

 

腎は、おしっこを生成する事から、水とも関係性が深いです。

 

この方は、お化け屋敷でビックリすると、小水をチビッてしまいます。

常に、ドキドキして驚きやすいので、人生の試練を経験した時に、恐怖の感情で支配されてしまいます。なかなか、そこから次の一歩が踏み出せないタイプです。

 

腎の機能が衰えると、骨も弱るので、転倒・骨折もしやすいです。反面、成長発育にも関係するので、若い時は、少し幼さが残る感じで、子供っぽく見える人生を歩みます。

 

 

チェックリストは、以下の様な随伴症状を示します。

 

□疲れやすい、□歯周病になりやすい、歯がグラグラする、□慢性疲労、体が重だるい

□骨粗しょう症、関節炎・骨が弱い、□抵抗力・免疫力が弱い、□夜間頻尿になりやすい

□体が冷える、□夜間に何回もトイレで目が覚める、□顔色が黒い(どす黒い)、

□いつも残尿感がある、□髪の毛がパサつく・抜けやすい、□膀胱炎になりやすい、

□白髪が増えてくる、□尿の出が渋る・尿がもれる、残尿感がある、□耳が遠くなった、

□性欲の減退、精力が無くなった、□耳鳴りがする、□不妊症になりやすい、□健忘症、

□子供の成長発育が遅い、□些細な事に恐がりやすい、□腰が弱い腰痛、□寒さが嫌い、

□脚や膝が弱い・膝が痛い、□転びやすい、骨折しやすい、□冬場に体調をくずす

 

 

以上のように、顔色の変化には、先人の知恵が継承されています。日々の生活の中で、朝、起きたばっかりの顔色を鏡に映した時に、普段と違う様相が見て取れたら、それは、身体からの危険信号のメッセージかもしれません。

 

自分一人では解りにくい時は、家族や友人との間で、見比べっこしてみましょう。

 

また、友達同士の会食の時に、さりげなく、相手の顔色を見て、

 

「もしかして、最近、○○が不調なんじゃない?」と、

 

ズバリと当てる事が出来れば、お互いのセルフメディケーションに貢献するかもしれません。

 

是非、取り入れてみて下さい。