スターウォーズ9『スカイウォーカーの夜明け』を見てきました。

 

スターウォーズの最終作を見てきました。エピソード4「新たな希望」を劇場で見てから、実に42年の歳月をかけて完結した訳です。

 

私とスターウォーズの出会いは、42年前に発刊されていた、「スターログ日本語版」と言う、SF専門誌で見たのが始まりです。アメリカで驚異的な興行収入を上げている作品で、ジョージルーカスと言う監督が作ったらしい…と言う事がわかり、早く日本でも鑑賞したかったことを記憶しています。

 

たしか、銀座の映画館で、公開初日に指定券を買って見てきました。

 

オープニングで、スターデストロイヤーと言う敵宇宙船が、三角形の帆先から徐々にスクリーン上部に現れて、延々と続く様子を見て、その巨大感に圧倒されました。その時、場内に拍手が起きた事を今でも覚えています。

 

当時の日本の特撮は、戦闘機をピアノ線で釣って、人が操演で撮影したものと比べて、圧倒的な技術の違いを目の当たりにして、狂喜乱舞をしました。

「これだよ、コレコレ。こういう特撮を待っていたんだよ!」と言う気持ちでした。

 

私は、過去ブログでも、家業を継がなかったら、特撮の映画に関わりたかったと、申し上げましたが、その理想像が、スターウォーズだった訳です。

 

ちょうど、歯科大学に入学した年で、学園祭の仮装行列で、どの様な催しをしたら良いか?クラスで話し合う機会があったので、真っ先に挙手をして、「スターウォーズをやりたい」と自己アピールをして、すんなりと了承されました。

 

気分は、ジョージルーカスになった感じで、クラスの中で、背の高い方には、猿人のチューバッカ役をお願いして、クラス一の美人さんにはレイア姫を指名して、全員のキャラを集めました。もちろん、ロボットのC3POとR2D2も工作で作りました。

 

あの思い出から数えて、42年です。

 

その中で、私なりにスターウォーズと関わってきて、感慨深い点があります。特に、ジョージルーカスが関わった、エピソード1~6に関して考察してみます。

 

本作は、4・5・6と始まって、前日譚である1・2・3が作られました。

主人公である悪の権化「ダースベイダー」の成長の記録です。この物語を、「私」と言う目線で見直すと、以下の様な映画評が出てきます。

 

まず、4・5・6は、私は20歳前後だったので、ダースベイダーは、年上の存在として、怖い父親像としてみてきました。極悪非道のキャラです。

その後、ルーカスは、1・2・3を作成し、ダースベイダーが、何故悪の道に入ったか?を、主人公の少年時代に遡って、丁寧に描きました。その頃には、私も家庭を持ち、自分の子供を持つ年になっていました。

 

と言う事は、4・5・6は、私自身の男親のように重ねてダースベイダーを見て、

1・2・3の子供時代のダースベイダーは、私が授かった実際の子供と対比させてみる事が出来た訳です。もし、ルーカスが、このような視点で本作を作ったのだとしたら、やはり、天才と言わざるを得ないでしょう。

 

さて、本編を鑑賞してきて、どうだったか?

不覚にも、涙腺崩壊してしまいました。

 

色々な矛盾点や駆け足な部分もありましたが、それでも、42年間ファンを続けていた私としては、充分納得のいく終わり方で、大団円を迎える事が出来ました。

 

7・8・9は、ディズニーが制作にまわり、フォースの扱いなど、ルーカスの解釈と異なる部分はあったにせよ、「金返せ!」と言うレベルではありませんでした。

当初、ルーカスは、7・8・9の大まかなストーリーを作って、ディズニーに提案したそうですが、門前払いで却下されたそうです。本作では、ルーカス版スターウォーズの主要人物が、霊体になってしまったので、次のシリーズは、全く新しいメンバーで作られて行く事でしょう。

 

ところで、スターウォーズは、東洋思想が盛り込まれています。特に「陰陽」の概念がシスとジェダイと言う概念で表現されています。

その両者の戦いを描くのですが、仮に、善が悪を滅ぼしてしまったら、善だけが残ってしまいます。両者は、どちらも存在してバランスを取らないと、人は、人として生きてはいけません。

 

もし、完全に善が悪をやっつけてしまったら、善もまた、自らが消えて行く運命なのです。

本作は、そんなテーマが描かれており、東洋医学を実践するものとしては、合点がいく終わり方でした。

 

もう一度、陰陽太極図を見てみましょう。白と黒が分かれています。でも、白地の中にも黒丸が存在し、黒字の中にも白丸が描かれています。

これは、善人の中にも悪の心は存在し、悪人の中にも善の心は隠れている訳です。

 

あとは、残された民の中に存在する、「善の部分」と「悪の部分」を上手く共存させながら、調和を図って生きていきなさい…と言うメッセージだったのだと思います。

 

いずれにしても、健康を維持してこなければ、本作を鑑賞する事は叶わなかった訳です。もし、1作目であるエピソード4を、10歳で見た場合は、50歳で9作目を見る事が出来ますし、もし、30歳が始まりであれば、70歳で9作目です。初めて見る年齢が、これ以上でも以下でも、全編をリアルタイムで見る事は難しくなります。ギリギリセーフな時代だった訳です。

 

私の場合は、20歳で本作と出会う事が出来たのは、非常に幸運だったのかもしれません。

「フォースと共にあらんことを…」