東洋医学を対人関係に役立てる

 

東洋医学の根幹をなす、「陰陽五行説」は、神羅万象、全ての事象は5つのエレメントで構成されていると解釈しています。

そして、それぞれの属性を抱えた者同士が、強調し合い、その相互作用によって相性の良し悪しが決定されていきます。このことから、この概念を上手く活用すれば、対人関係にも活用できるのです。

 

今回は、東洋医学の応用編として、陰陽五行説を用いた処世術を解説してみましょう。

日常生活のなかで、職場や家庭、友人関係のなかで、こんな経験はないでしょうか?

 

●この人とは、なんだかウマが合う

●この人の意見は、素直に聞くことができる

●なぜか、この人を助けたくなってしまう

●あの人と話すと、いつもカチンときてしまう

●あの人からは、いつもプレッシャーを感じて、緊張してしまう。

 

こうした人間関係は、実は裏で二人の「自分体質」による個性が、ともにぶつかり合った結果、相性の良し悪しが形成されていきます。対人関係は「自分体質」を互いに「チラ見せ」して、探り合いながらどこかで折り合いをつけて、皆生きています。

 

ジャンケンポンは、「グー」「チョキ」「パー」の3種類で勝負を決めます。これが、陰陽五行説の対人関係の場合は、5種類のジャンケンポンをイメージすれば、わかりやすいです。

 

ジャンケンの場合は、あいこ以外は、勝敗が完全決着できますが、漢方のジャンケンは、もう少し複雑です。それは、

 

●確実で簡単に勝てる最高の相性と

●何となく勝ててしまう相性と

●負けてもそんなに悔しくない相性と

●何回やっても絶対に負けてしまう相性と

●あいこ(引き分け)の相手が、私たちの見えないところで、パワーバランスを取りながら成り立っているのです。

 

つまり、自分体質を抱えた人たちが、街を闊歩し、社会生活のなかで、常に「ジャンケン」をしながら、対人関係を形成していると考えると、すべて合点がいくのです。

 

私は職業柄、町中の雑踏で、知らない人とすれ違う「ワンチャンス」で、顔色や姿勢、肌質、目力などを瞬間的に見て、この人と「自分体質」はどんな感じなんだろう?というトレーニングを常に心がけています。

 

それは、週刊誌に載っている「5つの間違い探し」に似ています。

 

間違い探しも、見つかるまでは、どんなに目を皿のようにしても見えてきません。でも、一度見つけてしまえば、何回見直しても、もう見間違えることはありません。

 

医療機関に受診するときは、皆さん保険証を提示しますね。患者さんの「生年月日」がわかる訳です。私は、できるだけ患者さんとの関係性を円滑で良好にするために、裏でこっそりと四柱推命を応用した体質分析を調べています。

この方は、どんな「自分体質」で、どんな人生を経験してきて、どんな未来が待っているんだろうと予測します。そして、治療を通じて一定期間、お付き合いを進めるなかで、私との相性はどんな関係性を有しているのか?一通り検証を加えています。これがわかれば、自ずと、どのような接し方をすれば、患者さんに心地よく感じてもらえるか?が事前にわかり、患者さんとの人間関係がスムーズになっていくのです。

 

 

5つの属性が作り出す「五角形」と「星形」について

 

陰陽五行は、肝、心、胃(脾)、肺、腎の五臓で成り立っています。それぞれに相対するエレメントが、木、火、土、金、水です。これらは、右回りに五角形を形成します。

 

「木」は「火」で燃えて灰となり「土」に帰ります。やがてその中からは「金」属が鉱脈の中から生まれ、その金属は結露をすると表面に水が染み出てきます。その水から再び「木」が育まれます。それは、常に右回りに進行し、地球の営みは絶えることがありません。

 

このことから、この5つのエレメントは、お互いが関連しあいながら、相乗と相克を繰り返しながら、相性の良い取り合わせと、打ち消してしまう関係が成り立っています。

 

●何だかわからないけど、手を差し伸べてみたくなる相手の存在や

●少しのことでも気に障り、必要以上に腹が立つ相手の存在や

●久しぶりに会っても、すぐに意気投合して、いつまでも仲良しでいられる相手の存在などの回答がここにあります。

 

ぜひ取り入れてみてください。

 

【ベストマッチングの組み合わせは】

下図の五角形の一つ前の属性です。

火からみて、ひとつ前の木

土からみて、ひとつ前の火

金からみて、ひとつ前の土

水からみて、ひとつ前の金

木からみて、ひとつ前の水

 

この関係性は、最強のベストマッチングです。

なぜならば、ひとつ前の属性は、あなたを生み出してくれる「オリジン」だからです。

 

常に、あなたを陰ながらサポートしてくれて、なぜだか、いつも引き立ててくれるありがたい存在です。そればかりではありません。いろいろな人生の教訓も授けてくれる本当に貴重な関係性なのです。日常生活の中で、是非、積極的にひとつ前の属性の方を探し出すと良いです。でも、ややもすると、この仕組みがわかっていないと、つい、その存在が当然だと思って、相手に甘えてしまいます。常に感謝の心を持ち続けることが重要です。

 

この関係性は、例えば

職場の上司や一生の伴侶、生涯の友人になれば、あなたのキャラクターを引き上げてくれる存在になっていきます。もっといえば、もし、運よく両親にもつことができれば、生涯にわたって満たされた人生を歩むことができます。

 

【ベターマッチングの組み合わせは】

こんどは、上図の五角形の一つ先の属性です。

火からみて、ひとつ先の土

土からみて、ひとつ先の金

金からみて、ひとつ先の水

水からみて、ひとつ先の木

木からみて、ひとつ先の火

 

この関係性は、ベターマッチングです。

なぜならば、今度はあなたが「生み出す」ことができる存在になるからです。

あなたは不思議とこの属性の人が気になる存在になり、相手に対し奉仕の精神が芽生えます。受ける側もあなたがオリジンの存在なので、素直に聞き入れてくれます。お互いにとって良好な関係を築くことができます。全くストレスがありません。相手に尽くしているということが、あなた自身にとっても深い喜びや、人生にとってプラスに働く関係性なのです。ただ、とかく気になる存在なので、ついついお節介な気分になりがちです。必要以上に押し付けることは逆効果になるときもあるので、普段は温かく見守る気分が重要です。相手は、ただ存在しているだけで充足感を抱いてくれる存在なのですから。

 

この関係性は、例えば、

学校の先生やスポーツのコーチ、家庭教師、コンサルタント、サービス業、旅館の女将など、アドバイスやサポートをすることで相手を育てる職業の方はマッチングが良いです。特に、この関係を利用すると、相手は思った以上に実力を発揮してくれるので、最良の結果が出やすくなります。相手も授けた教えを素直に吸収してくれるので、最高のペアを組むことができるようになります。とにかく、士業や師業の仕事を持っている方は、クライアントになるときに、この関係性を利用して人間関係を構築すると良いでしょう。

 

【似たもの同士で調和のとれた関係性】

こちらは、上図の五角形の同じ属性同士で、「和合する」する関係性です。

 

火と火

土と土

金と金

水と水

木と木。

 

この関係性は、普通に良いマッチングです。同じ属性同士は、よく調和する関係性です。

なぜならば、相手のことがよくわかった立場でいられるからです。

対等な関係性を好み、ツーといえばカーと帰ってくる存在です。好みや価値観も対等でレベルな存在ですから、「アイツならわかってくれる」という感じで何でも相談できる間柄です。変に気を回す必要もないので、気楽な仲間意識が長年にわたって芽生えていきます。お互いを分かり合った存在となることで、常に居心地はよいのですが、ときとして、そのぬるま湯に染まってしまい、なれ合いの存在にも傾くので注意が必要です。

 

この関係性は、例えば、

職場の同僚や同級生の幼馴染、恋愛相談、上下関係のない似た者夫婦を望むのであれば、この属性の相手を見つけると良いでしょう。対等な関係性を生涯にわたって維持することができます。

 

 

【避けたほうが良いノックアウトしてしまう凶を有する関係性】

こちらは、円環ではなくて、星形が重要になってきます。2個進みのキセキャラになります。

 

火からみて、2個進みの金

土からみて、2個進みの水

金からみて、2個進みの木

水からみて、2個進みの火

木からみて、2個進みの土

 

この関係性は、相手の良いところを「ノックアウトしてしまう」キセキャラです。例えば、金から見た木のように、せっかく、すくすく育った木を、あなたがノコギリの歯で切り倒してしまう間柄なのです。あなたが相手に与える影響力は、常にネガティブな方へ変化を与え、無意識に傷つけてしまいます。この両者は、どうにも相性が悪いのです。

 

あなた自身に自覚はないのですが、ちょっとした行動が相手に対して誤解を与え、必要以上に傷つけてしまいます。そのつもりがなくても、いつの間にか、「加害者側」に回ってしまい、最初から関係性がギクシャクしがちです。なかなか、しっかりとした信頼関係を作ることは難しいので、相手の属性がわかったら、お互いできるだけ近づかないほうが無難です。身に覚えがないのに、陰で悪口を言われてしまうので要注意です。相手の立場に立って、思いやりの心が必要になってきます。

 

この関係性は、例えば、

職場や家庭、友人関係でも、相手とのあいだで、無用のトラブルを抱えがちなので、深入りはしないで、少し遠くから見守ってあげるしか手立てはありません。

 

【もっとも避けるべきノックアウトされてしまう大凶を有する関係性】

こちらは、星形のうち、2個戻しのキセキャラになります。

 

火からみて、2個戻しの水

土からみて、2個戻しの木

金からみて、2個戻しの火

水からみて、2個戻しの土

木からみて、2個戻しの金

 

今度は、あなたが「ノックアウトされる側」になるので、この属性は大凶レベルです。例えば、火からみた水のように、あなたを消してしまう関係性になってしまうからです。

もし、相手が悪意をもって、あなたを打ち負かしに来たら、もうひとたまりもありません。精神的な痛手は、いちばん深く刻まれます。常にジャンケンの負け側に位置しているので、口喧嘩をしても、かならず論破されてしまいます。相手はあなたに対して優位な位置を保とうとしてくるので、無理に対決姿勢を取らずに、受け流す心の寛容さが必要になります。仮に、相手に悪意がなかったとしても、あなたは常に否定的な役回りに陥り、必要以上に深く傷つくことになります。とにかく相手の所作や言動、物腰のすべてが鼻につくので、近づいてくるだけで嫌悪感が出てしまいます。そのうち、「被害者意識」が必要以上に芽生えてしまい、人生のエネルギーの大半を、この関係性に費やしてしまうことになってしまいます。

 

この関係性もうまく立ち回る事で、プラスに作用する事も出来ます。例えば、

ヨイショやゴマすりをすることで、相手を気持ちよくさせて仕事を得られる職業、例えば、営業職や販売業、車のセールスマン、外商サービスなどは、このキセキャラをうまく使うと好成績が得られます。なぜなら、あなたがつねに負けキャラでいるうちは、相手は常に勝ち誇って心地よいのですから。これを逆手にとって、常に負け側にいることを受け入れられれば営業成績は伸びるはずです。ただ、実生活においては、すべての場所で、このキセキャラとは関係を作らないのが理想的です。職場の上司の場合は、最初から戦いにもっていくことは避けて、そういうものなのだと割り切って、何でもハイハイいうことを聞いて、やり過ごす知恵が必要になってきます。

もし友人や家庭で、このキセキャラがいた場合、相手に悪意が感じられない場合には、何回もコミュニケーションを取って、いやなこと、つらいことを相手に伝えて、わかってもらうようにすると、関係性が少しは保たれます。逆を考えれば、この属性は、相手は常に高圧的に出てきて、そのことに喜びを感じているのですから、当初からジャンケンポンの負けをうまく理解して、負けを受け流すようにすると、徐々に、好転していきます。「負けるが勝ち」なのです。もし、夫婦でこの関係性になってしまったら、負けていることに意味を見出し、相手を常に立ててあげると良い関係性が保てます。決して、逆らって勝負を挑まないことが重要になってきます。

 

 

【まとめ】

●守ってもらいたい関係性を築きたいときは、ひとつ前の属性を選び

●自分が守るべき関係性を築きたいときは、ひとつ先の属性を選び

●平均的にずっと良い関係性を築きたいときは、同じ属性を選び

●傷つけたくない関係性を築きたいときは、2個飛ばしの属性を避けて

●ダメージを受けない関係性を築きたいときは、2個戻しの属性を避けると良いでしょう。