TBS「その差って何ですか?」から番組出演のオファーを受ける

 

3年前、TBS「その差って何ですか?」に出演して以来、再び、同番組からコンタクトがありました。2015年7月より、レギュラー放送が始まったので、今年で5年目の長寿番組です。司会は、極楽とんぼの加藤浩次さんです。

 

3年前の出演の時は、年末の多忙期に、2日間スタジオに出向き、収録に協力しました。その時のテーマは、「ニンニクの口臭を抑えるには、この食材!」というものでした。

 

20人くらいのエキストラさんに対し、ニンニクを食べてから、どの食材に臭いを消す効能があるのか?について、経時的な変化を臭気計を使ってデータ化していきます。食べ始めてから、8時間後まで、1時間ごとに追跡していくので、まる2日拘束されてしまいました。

その時に解ったことは、食べたすぐ後の「直後臭」は、リンゴが一番効果的で、

次の日に出てくる「直後臭」は、牛乳が最も臭いを引き下げました。

 

今回は、就寝中の口臭の発生についてです。

 

冬は空気が乾燥し、口呼吸の習慣の方は、益々口の中が乾燥傾向に傾きます。すると、口腔内細菌の活動が活発化して、翌朝の口臭の発生につながるのです。被験者さんは、おかずくらぶの「ゆいP」さんです。

 

普段のゆいPさんは、物腰も柔らかく、とても親しみやすいキャラクターで、安心してお仕事が出来ました。

 

さて、実際の収録は、医院でのインタビュー収録とホテルに3泊して、ゆいPさん、エキストラの被験者さん3人を交えて、検証実験が行われました。

 

一晩、口を開けて寝た場合と、強制的に口が開けられない矯正ベルトを装着して、できるだけ就寝中に顎をあけることを難しくして、積極的に鼻呼吸をしてもらった場合とを比較して、口臭の発生、口内湿潤度、口内細菌の細菌傾向、顕微鏡画像など、色々なデータを取りました。

 

下記の写真に有る様に、赤坂TBS周辺のビジネスホテルの一室を借りて、中城歯科医院で用いている測定器、一式を全て持ち込みました。機材はかなり大きいので、海外旅行向けのボストンバッグに入れて、何とか現地入りできました。

 

まるで、移動式口臭測定研究所が完成してしまいました。(やってみれば出来るもんです)

口臭測定器:オーラルクロマ、口腔内細菌培養検査:バナペリオ、口腔水分計:ムーカス、位相差顕微鏡など、中城歯科医院で実践している口臭測定機材が、殆ど再現したわけです。

 

ゆいPさんは、事前のリサーチで、普段から口を開けて寝る癖がある様なので、実験結果に差が出ると良いなぁ…と思っていました。当然、私も3日間の間、ホテルで寝泊まりをします。

 

既に、放送は終わっているので、番組で語られることのなかった、放送内容の一部を検証してみましょう。下記の2条件で違いを検証するのです。

就寝前、口臭測定→口を開いて寝る→翌朝、起床後口臭測定

就寝前、口臭測定→口を閉じて寝る→翌朝、起床後口臭測定

 

口を開いた時と閉じた時で、就寝・起床後に口臭レベルが、どの位変化するのかを比較して検証する訳です。

下図が、オーラルクロマの全体をまとめた測定履歴です。

 

過去、2回、就寝前に測定した時は、どちらも口臭の発生は少なく、硫化水素は、

就寝前の口臭レベルは、口を開いて寝る前と、口を閉じて寝た場合とで、大きな変化はありません。この事から、ゆいPさんは、普段から口臭は発生していない方である事が伺えます。

30日就寝前、硫化水素:10ppb

 

31日就寝前、硫化水素:6ppb

 

両日とも、就寝前の口臭は、特に口臭発生菌が作る硫化水素に関しては、6~10ppbなので、認知閾値以下に収まり口臭は出ていません。また、その他の臭気物質も、棒グラフを見る限り、大きく変動していません。再現性のあるデータがうまく取れていると思います。また、ゆいPさんの口腔内を拝見しても、歯周病を抱えている所見は認められませんでした。

ゆいPさんは「真正口臭」の方ではないので、炎症性由来のメチルメルカプタンの測定値に変化はありません。その証拠に、起床後に口臭が上昇した、同じ日の、夜に測定した時には、元の状態に戻っているので、私が普段臨床で対峙している、真正口臭の方とは別で、普段の日常生活では、口臭は発生していないと思います。

 

実際、ゆいPさんの前に私の鼻を近づけて、「ハーッ」とやってみて、嗅覚で確認したのですが、特に不快感を伴う臭気は出ていませんでした。

 

ところが、口を開いて寝た翌朝だけ、口臭の測定値が上昇し、特に、硫化水素が「368ppb」まで上がっています。これは、ファミレスで隣同士に話し合う時に少し臭いが届くレベルです。

 

31日起床後、口を開けて就寝した状態、硫化水素:368ppb

 

このことは、口を開いて寝てしまうと、口腔内が乾燥し、口臭発生菌が優位な状態に傾き、菌が増殖した時に発生する硫化水素だけが、上昇傾向を示したものと考察されます。ここが、とても重要な知見で、「口呼吸」の方は、朝起きた時に、口臭が発生しやすい口内環境に傾いている事が考えられます。

 

次の日に、ゆいPさんには、鼻呼吸を誘導するマスクを使用してもらい、31日の夜に、もう一度就寝してもらいました。ゴムバンドで顎を結紮し、強制的に口をあけにくくする訳です。

すると、31日の起床後の口臭測定では、硫化水素の値が「25ppb」位しか上昇していませんでした。口腔内の乾燥状態が、いかに口臭の発生に影響を与えているのかがわかります。

 

1日起床後、口を閉じて就寝して翌日の起床後に測定、硫化水素:25ppb

 

実は、口呼吸と鼻呼吸には、決定的な違いがあります。

鼻を通過する間に、鼻道にはエアコン機能があり、温度調節、湿度調整、フィルター機能により、外気は浄化された状態で肺の中に浸透していきます。

これに対し、口呼吸は、一気に肺の中に外気が取り込まれるので、ウィルスや細菌類が含まれた状態で体の中に入るので、感染症にかかりやすくなります。

 

つまり、日常生活で、起床後に口臭が感じられたら…それは、口呼吸習慣に傾き、身体にとって色々な部分に弊害が出始めるんですよ…と言う、身体からのメッセージなのです。

 

是非、鼻呼吸を身に着けてみて下さい。

番組スタッフの皆様、会場のセッティングなど色々都合をつけて頂き、お疲れ様でした。