「入れ墨」(タトゥー)を東洋医学的に考察してみる

 

近年、日本においても、入れ墨(タトゥー)を入れる文化が、だいぶ定着してきました。昭和時代の仁侠映画に登場するような、立派な彫り物や、若い方の場合は、ファッションの一部として、ワンポイントのタトゥーを入れる場合もあります。

 

また、ニュージーランドのマオリ族の屈強な男たちは、神聖なものとして顔に入れ墨を入れる風習もあります。日本で行われたラグビーワールドカップの時に、試合を始める前のセレモニーとして、「ハカ」と呼ばれる踊りを披露する事で、選手の士気を高めるものとして、目にした方もいると思います。

 

2020の大みそかに行われた、ボクシングの世界タイトルマッチのチャンピョンの選手が、腕に入れ墨をしていたことが、日本の規約に反しているという事で、物議をかもしています。

 

本ブログでは、入れ墨(タトゥー)に関して、その是非を論じる意図はありません。鍼灸師の立場から見た時に、鍼灸以外の施術で、「身体に針を入れる」…と言う行為が、どのような意味と影響を持つのか?この1点に絞って、健康への影響を考察してみたいと思います。

 

東洋医学的には、タトゥーは、全くおススメしません。

 

実は、命の源である気には、4種類の物があるとされています。東洋医学を学ぼうとすると、専門書の最初に記載されている概念です。

 

1.産まれた時から持っている、親から授かった気…「元気」

2.心臓の鼓動や呼吸を統合管理する気…「宗気」

3.脈の中を流れ、血流と共に栄養分を運ぶ気…「営気」

4.体表面を流れ、邪気を防ぐ気…「衛気」

の4種類です。この中でも、特に、体表面近くの皮毛を巡る衛気は、体温調節と外邪から身体を守る、バリアの役目があります。そこに、墨を注入すると言う事は、気の流れを阻害して体温調節や免疫力が低下してしまう可能性が、少なからずあります。

 

これは、刺青に限らず、大きな手術をした場合、大出血をした場合、傷跡が残る位の外傷をした場合など、そこが、常に冷えを抱えてしまったり、固く硬結をしたり、日頃から、ずっと気になって、庇ってしまったりすると、気の流れを阻害している可能性があります。 

 

加えて、注意が必要な事に、刺青やタトゥーは、肩甲骨、うなじ、手首、足首、耳の裏、指、太ももの内側などに墨を入れるのですが、

 

実は、この周囲には、ツボにとって重要な、「要穴」が沢山、隠れているのです。 

 

私達の健康を維持するためには、体中を気が滞りなく循環する必要があります。その為には、肌表面に、出来るだけ大きな傷跡が無く、しっとりした健康な皮膚の状態で、冷えを抱えていない方が好ましいです。

 

そういう観点で見ると、身体に穴をあけるピアスも注意した方が良いです。

良く開ける部位として、耳たぶが一般的ですが、「耳診」の概念で考えると、耳たぶは、胎児がさかさまになった時の頭部に相当してきます。そこに、貫通する穴をあけてしまうリスクは、考えただけでも、頭部の気の流れに影響を及ぼすことは容易に想像できます。

 

総合格闘家の「山本キッド徳郁」さんは、刺青を入れていました。時間経過と共に、範囲もどんどん広がっていきました。

 

身体の中に入れた墨は、重金属類、蛍光剤なども含まれており、一部は肝臓に到達します。山本キッドさんは、若くしてガンになり、早逝してしまいました。刺青との因果関係も、全くゼロだったとも言えないと思います。また、刺青を入れると、高磁力を与えるMRIの画像診断もできなくなる時もあります。

 

東洋医学的にも、西洋医学的にも、身体にとって良い事は、あまりありません。

我が子が、タトゥーを入れたい…と言って来たら、親として、全力で止めたいと考えています。