4月は、私の誕生日月です。とうとう、62歳になってしまいました。
この誕生日は、実は、これから確実にやって来る、私自身の「死期」とも密接に関係しているようなのです。
「死」を東洋医学でのように解釈するか?について、考察してみましょう。
東洋医学における「死」は、陰陽の両面が失われてしまう、亡陽・亡陰の状態です。特に、生命素である「気」が、無くなる状態です。
この「気」には、陰気と陽気の二面性がある所が、とても重要です。
●「陰気」とは、
冬場の早朝に訪れる、一瞬の静寂をイメージすると解りやすいです。空気も引き締まり、変化が感じられず、シーンと静まり返っています。温度も寒・凉で、薄暗い感じです。
陰気は、身体の中では、「血」と「津液」(体液)が該当してきます。
これに対し
●「陽気」とは、
真夏の暑さを思い浮かべます。全体的に活動的で、温度は温・熱を感じます。日差しが、キラキラまぶしくて明るいイメージです。
陽気は、身体の中では、「気」に相当します。
ココで重要なのは、陰陽、それぞれに担当する役割が異なる所です。
陰気は、身体の中の臓腑に対し、「血」によって栄養を与え滋養し臓腑の働きを保ち鼓舞します。加えて「津液」の働きが、臓腑に潤い感を与え、健常に動作する事をサポートしています。
総じて、臓腑の「形態」を維持する事に主眼があります。
これに対し、陽気が担当する「気」は、臓腑が生理的に上手く動いてくれるか?を統合管理しています。
総じて、臓腑の「機能」を司っています。
身体が元気で、陰陽のバランスがうまく働いていれば、臓腑の「形態」と「機能」は、補完し合い、バランスを取りながら、生命を維持していきます。
分かりやすく例えると、掃除機を例に挙げれば、
掃除機の本体、ボタン、吸引するためのファンなどが、陰気に由来する「形態」で、電気に相当する陽気が通電して流れ、バキュームが始まると、それが「機能」になります。
つまり、陽気があふれ、やる気満々で、「さぁ、走るぞ!」と意気込んでも、陰気が充実していないと、骨格、筋肉、臓器の働きが活発に働かないので、うまくダッシュする事が難しい訳です。
陰気と陽気が、平衡関係を保ちながら、命ある限り、生命活動は健常に働いています。
この関係性をズバリと示した図が、何回も登場してくれている、「陰陽太極図」です。
以上の事から、東洋医学における「死の種類」には、先に陰気が弱くなる、陽気の方が弱まる、陰陽同時に機能停止になる…この3種類の可能性があることが伺えます。
① 先に陰気が尽きて亡くなる
この死は、陰気が徐々に減少して、最終的には枯渇して、死に至るケースです。前述したように、陰気は、「血」と「津液」が関係して、形態を保つために機能しています。
この事から、上図の陰陽太極図を例に挙げると、「形態」が弱まっていく訳ですから、下図のように陰陽太極自体が小さくなって消滅する感じです。身体の変化は、形態の委縮ですから、痩せ細り、肌に潤いは無くなり、貧血傾向の変化が出て、小さくなって、ろうそくの炎が消え去るように死に至ります。
② 陽気が失われて無くなる
こちらは、徐々に陽気が減少して、死に至るケースです。
陽気は「気」によって統合管理されていますから、身体全体の「機能」を維持しています。陰陽太極図の変化は、機能の消失ですから、大きさは変化せず、全体に雲がかかったようにボヤけてきて、陰陽の形が見えなくなるイメージです。形態の変化は少なめなので、見た目が萎縮するというよりは、内臓の働きが弱まって多臓器不全で亡くなります。
③ 急激に陰陽ともに滅する
この場合は、均衡を保っていた陰陽の関係性が、突然バランスを崩し崩壊するケースです。
一例をあげれば、気を失うような強い邪気に、突然ダメージ受けたり、陰陽の気が、外傷や突発的な身体の変調により、瞬間的に侵襲を受けたりした時に、突発的に正気が消滅して死を迎えます。ゴム風船を、針で突いて、突然パチンと弾けて死を迎えます。
陰陽太極図で見ると、黒い陰の部分と、白い様の部分の強固に付着している部分が、突然の外傷によって、引き裂かれていくイメージです。
私に訪れる「死」が、どのタイプになるかは、全くイメージが出来ませんが、願わくば、突然、陰陽共に消失する、事故死のようなパターンは願い下げの様な気がします。