毎年、日本口臭学会は、主管校の持ち回りで場所が変更になり、全国の学会場へ足を運びます。去年は、福岡で、一昨年は長野でした。今年は、岩手医科大学歯学部が担当なので、岩手迄足を運ばなくてはならないなぁ…と考えていましたが、コロナ禍の影響で、会員が集う、従来の学会形式は、早々に中止になりました。
今回は、「バーチャル会場」が設置されて、ネット配信プレゼンテーションによるオンデマンド方式に切り替わりました。時代の流れを感じます。
https://jams12.secand.net/index.html
その様な背景を受けて、今回の一般演題の発表は、演者が作成した、パワーポイントのスライドに、説明用の音声を録音して、mp4のデータに吐き出して、学会にネット配信で送り届けます。
ただ、還暦オヤジが、念仏みたいに平板な説明で録音しても、眠たくなってしまいます。実際に、自分の声を録音したパワーポイントのデータを、聞き直してみましたが、
「こりゃ、ダメだな」
と言うクオリティの物しか出来上がりませんでした。
提出期限まで、残り3日しかありません。
さて、どうしたものか?と思案して、「!」閃きました。
Youtubeなどの解説動画で見た記憶がある、ゆっくり魔理沙とゆっくり霊夢に登場してもらって、私のスライドを電子音声で解説してたら、面白いものが出来上がるのではないか?と、考えるに至り、急遽、3日間で作り上げる…と言う暴挙に乗り出したのです。
もし上手く作れなかったら、事前に収録した、私の声が録音されているダメスライドを提出するだけなので、リスクは伴いません。
所で、ゆっくり魔理沙とゆっくり霊夢とは、どの様なキャラクターなのでしょうか?
通称「お饅頭」と言う容姿です。
著作権や、その歴史的な背景の説明を、当の本人である、ゆっくりキャラが説明している、以下の動画が参考になります。
元々の出自は、上海アリス幻樂団のシューティングゲーム「東方Project」の中で登場するキャラクターでした。ゆっくりキャラと、お姿も微妙に異なります。これを、2chの住人が、記号を羅列して1枚画にする「アスキーアート」に変化させました。
その元ネタは、peercast配信者、「アレミ」のリスナーさんが作成し、自分の「アレミスレッド」に投下したのが、ネット上での初出になります。
このアスキーアートから転じて、2次元キャラとして、別の方が色を付けて、以下のお饅頭が出来上がりました。
Youtubeやニコニコ動画を見た事のある方でしたら、独特の電子音声と共に、1回は見た事があるのではないでしょうか?
つまり、
●1次創作として、シューティングゲームに登場する原作キャラとしての魔理沙の原型が存在し、
●2次創作として、2chから派生した、アスキーアートになった魔理沙が存在し、
●3次創作として、2次元の絵を起こし、色を彩色したお饅頭の頭の魔理沙が存在するのです。
その全てに関わったアーティストさん達が、著作権を主張せず、商用活用をしないなどの、基本的なポリシーを守った形で、自由に活用しても良いよ…と、判断して下さったので、これだけネット上で広がりを見たのです。
そして今回、このキャラを、学会に登場させようとしている訳です。「私」と言う思考(フィルター)を通って、新たな語り部となった魔理沙が、誕生しようとしているのです。
長老格のお偉い先生からは、
「あいつ、何を考えているんだ!」
「バッカじゃないの?」
と言う批判が聞こえてきそうです。それらは、全て「誉め言葉」として受けて止めて、作業に入りました。
もしかしたら、学会から不採用になるかも?とも思いましたが、学会の演題投稿既定のどこを見ても、
●音声録音は、演者本人に限るとか
●電子音・合成音は認めない
等の但し書きは、どこにもなかったのです。学会に風穴を開ける意味合いで、今回、チャレンジしてみました。これは、私見になりますが、ネット配信における、オンデマンド学会になった時点で、遅かれ、早かれ、こうした試みをする会員が出てくるのではないでしょうか?
そのオンデマンド配信になった第1回目に、やり遂げてみたかったのです。
現在、ネット上には、ヒトの声なのか?機械音なのか?判別がつかない、高性能な電子音も存在しています。こうした試みを完全否定できない時代が、もうそこまで来ているのではないか?と思うのです。
ところで、「やろう」と、決めてから、1日が経過してしまったので、残り時間は2日間しかありません。
キャラは、ゆっくりですが、作業は、速攻で仕上げなければなりません。皆さん、ゆっくり魔理沙と霊夢を使って、どうやって動画を作っているんだろう?という事で、まず、ネット上で探してみました。
すると、「ゆっくりムービーメーカー4」(β版)と言うソフトがある事が分かりました。
そこに、ゆっくりキャラを提供しているサイトに行って、お目当てのキャラをダウンロードして、読み込めるように設定します。以前のバージョンの、ゆっくりムービーメーカー3は、一旦、動画を作り込んだら、AviUtlと言う別ソフトをダウンロードし、色々なプラグインソフトを組み込んで、そこから、「mp4」に変換しないと、動画として成り立ちませんでした。
ところが、嬉しい事に…
2021年版、ゆっくりムービーメーカー4からは、同ソフトの中で、mp4に変換して、吐き出せる事が分かったので、作業としては、ものすごく楽になりました。
やり方は分かりました。
でも、一連の作業は、こんな感じで進まれて行きます。
① まず、提出予定のパワーポイントを用意します。今回は、14枚のスライドになりました。
② そのスライド1枚1枚で、どんな事を解説するか?ザックリとした台本を考えます。
③ 私の声でしゃべりながら、14枚のスライドショーの、どのコマで、何秒が必要になるか?時間割を考えます。
その14枚のスライドショーのコマ割を、ピッタリ、発表時間の10分で納めなければなりません。
④ 魔理沙と霊夢を組み込む前の、音声ナシの、無音で進行する10分間のスライドを、ストップウォッチを見ながら、
それぞれのコマ割ごとに、秒数を確認して、1枚1枚、スライドを進行させて録画していきます。
⑤ その出来上がった、無音のスライドショーに、1枚ごとに、魔理沙と霊夢のセリフを、尺に合わせてかぶせていくのです。
⑥ 最終的に、mp4に書き出して、学会事務局に提出です。
この作業を、2日間でやり切りました。ヒトは、何かの衝動に駆られて突き動かされると、労力が苦にならず、一気に、エネルギーが解放されるのです。最終的に、提出期限の日の、日にちが変わる直前の、夜の10時半に、提出が終わりました。
学会が終わるまでは公開しない方が良いので、静止画として、以下の様なものが出来上がりました。
また、もう一つの懸念材料としては、最終的にこうした取り組みを学会事務局が容認してくれるか?そこが、最大の心配事でした。提出後、
「この発表は認められません、再提出してください」と言う回答が来ないか?
数日間は、冷や冷やした気分でした。私は知る由もないですが、もしかしたら、事務局では、認める・認めないで、ひと悶着があったのかもしれません。
ただ、数日後、「確かに、正しく受け取りました」
と言う返答が来たので、事の経緯は分かりませんが、受理されたのだ…と、勝手に思いました。
ところで、会員が一堂に集う通常の学会であれば、毎年、一般演題数は20~30位は集まります。ところが、今年は私を含めて「5題」でした。
本来であれば、オンデマンド方式なので、もっと集まっても良いはずです。恐らく、パワーポイントでスライドを起こし、音声収録をした上で、mp4に変換して提出と言う工程が、
「なんか、難しそう」
と言うイメージを与え、敬遠されてしまったのかもしれません。
もし、バーチャル会場に再生回数などの情報が表示されるようであれば、是非、今回の投稿が、他の演題と比較して、どの位の数字を示すか?見てみたい気もします。
いずれにしても、2日間で一連の工程をやり切りました。ゆっくり魔理沙・霊夢、今回は有難う!
もし、来年もオンデマンド配信になるようだったら、再びお世話になろうと考えています。