SONYらしさを取り戻せ!宇宙体験事業

 

6月某日、『宇宙を解放せよ!』と題して、ソニー×東大×JAXAがコラボして、

 

「エンタメ・サット(仮称)」が、ZOOMで開催されました。

 

宇宙好きの私としては、無料参加で、SONYの社員さんから、直接、これからの事業展開を拝聴できる…またとない機会なので、診療時間を空けて、レクチャーを受けてみました。

 

 

【昔のSONY】

日本は、島国根性により、初めに小さな集落が形成され、そこから権力者・実力者が台頭し、リーダーを頂点となす社会を作る事で、今日まで発展を繰り返してきました。この構造は、序列関係を重んじ、一定の秩序を形成する事で、上手く機能していきます。

 

この構造は、トップの指示や判断によって行動し、利益の配当をする閉鎖的な組織を作りがちです。それは、学界・政治・企業・談合など、現代に至るまで、何の疑問を持つこともなく、組織の一員として機能してきました。

 

この組織構造には、大きな「掟」があり、それに背いたものには、大きな代償を負う事となり、組織の中で村八分になり、昇進は望めなくなります。

 

こうした背景により、会社や企業が閉鎖的な圧力に負けて、リーダー自身も中途半端な決断をしてしまい、衰退を余儀なくされる事が日本では度々起きています。

 

SONYもまた、そうした歴史をたどった企業だと思います。

 

私が大学生の40年前、休み時間に人だかりができました。今でもハッキリその興奮を覚えています。ある学生が、教室に「ウォークマン」を持ってきたのでした。

 

 

今まで音楽と言えば、自宅のアーディオで聞くか、大きなラジカセを持ち歩き、コンセントに電源をつなぎ、主にスピーカーから音楽を聴く…しか、手段がありませんでした。

 

それが、片手で持てるコンパクトサイズのボディーで、

外部スピーカーや録音機能もなく、

 

ヘッドホンだけで音楽を再生する事に特化したマシンが、突然目の前に現れたのです。

 

自分の気に入った音楽を、お手軽に持ち歩いて聞く時代が、世界に先駆けて誕生した瞬間でした。皆が代わる代わるヘッドホンを奪い合い、耳にセットして音楽を聴きます。

 

私の順番になった時に、左右の耳から音楽が別々に流れ、その音楽が統合されて、頭の真ん中で音階を奏でた時の衝撃は、今でも鮮明に覚えています。

 

「何これ?」

「別世界じゃん!」

 

筐体を見れば、「SONY」というロゴが入った会社を知った瞬間でした。

 

それから、あっという間にウォークマンは世界中で売れ続け、SONYは一躍、トップランナーに上り詰めました。その後も、ワクワク創造企業として、イノベーションな商品を、次々とヒットさせました。今から、40年以上前の事です。

 

ただその後、SONYは衰退し、パソコン事業からも撤退し、「VAIO」のノートパソコンも手放してしまいました。今は別会社から細々と販売されてしまうくらい、残念な企業になってしまいました。

 

「もう、あの頃のドキドキする提案は、SONYからは出てこないのか?」

 

と思っていた矢先、久しぶりに、SONYらしい提案が出てきました。

東京大学とJAXAと協力して、小型衛星を宇宙に打ち上げて、そこに組み付けた4Kカメラによって、宇宙空間の画像・動画を、ユーザーに供給しようという提案です。

 

お金持ちの某社長が、何億円もかけて、宇宙旅行体験をしなくても、リアルな宇宙の一端を体験できるのです。しかも、一定のコストをかければ、スマホから衛星を自由自在に操る事が出来て、星空、日本列島、成層圏などをお好みのままに見る事が出来るのです。

 

もし、VRゴーグルをつけて、ヴァーチャルに見る事が出来れば、無重力体験は無理ですが、あたかも自分が宇宙飛行士になって漂っている体験ができるのです。

 

当初の予定では、ユーザーに割り当てられる時間は、「10分間」だそうです。

 

プレゼンの席上、SONYからアンケートがありました。

あなたは、この「10分間宇宙体験」をするとしたら、どの位のコストだと参加しやすいですか?の最低価格は、ナント、

 

「30万円」からのスターでした。

 

そして、アンケート項目の上限は、500万円でした。

 

恐らく、打ち上げ費用から逆算すると、30万円くらいが、商業ベースで見た場合の最低ラインだったのでしょう。でも、人工衛星を、自分の思うままに操れる10分間の宇宙体験を考えれば、30万円でも、安いのでしょう。

 

あの、われ先に奪い合った、ウォークマンのドキドキした感覚を呼び起こすには、最低でも30万円が必要になる訳です。でも、自分の懐事情を考えれば、10万円以下だったら、何とか払っても良いかなぁ…という感じでした。

 

SONYは、物を売る…から、体験を売る…企業に変容しようとしているのです

 

結局、ウォークマンが凄かったのではなく、「初めてのドキドキ体験」が、本当のSONYらしさだったのではないか?そうした背景を受け、40年の時を経て、世代が入れ替わり、若い世代の新しい提案が出来る企業へと変遷していく事を、今一度、祈っておきたいと考えています。

 

人工衛星の本格運用は、2023年頃を予定しているようです。

またまた、長生きしなければならないモチベーションが出てきました。