恐れ・不安を取り去る方法

 

口臭治療を専門にして、つくづく難しいと感じている事は、

 

「実感を伴う、口臭治療をしないと、患者さんは納得しない」

 

と言う事に尽きると思います。

 

特に、改善効果には、2種類の考え方があると考えています。

① 「客観的」な測定値の減少効果による…改善効果

② 「主観的」な実感できる…改善効果です。

 

●医療機関サイドは、測定値の減少を確認して…「治った」と判断し、

●患者さんサイドは、相手の素振りの変化なので…徐々に実感をしていきます。

 

通常、この両者には、「時間差」が生じる時があります。

先に、客観的な変化が出始めて、遅れる事、実感できる部分が追い付いてきます。

時として、このタイムラグは、数週間~数か月を要する時があります。

 

口臭治療を専門になって、死ぬほど重要な事は、

 

客観的な測定値の減少傾向が出てきて、

主観的な実感が出てくるまで…その空白の時間帯を、患者さん自身が、根気よくモチベーションを保って、諦める事なく、

 

私の治療方針に付いてきてくれるか?

 

この1点にかかってくると考えています。

客観的な測定値の減少が出ているにもかかわらず、実感できる思いが追い付いてこない段階で投げ出してしまうと、

 

「やっぱり治っていない」

 

と言う評価につながってしまいます。

ここに、口臭治療の難しい部分が隠れています。

 

なぜ、そうなってしまうのでしょうか?

私が、臨床を経験する中で習得していった、心理学的な「気」の持ちようについて、まとめておきたいと考えています。

 

【口臭と恐れ・不安】

例えば、「UFOを目撃した」と、主張する方がいたとしましょう。

「家族も一緒に遭遇したので、間違いない」

「私にはわかる、あれが間違いなくUFOだった」と強く主張しています。

 

 

すると、何だか分からない未知のものを体験した事で、その方には、「恐れ」「不安」「恐怖」の感情が芽生え始めます。その方は、自分が体験したものが何だったのか?を解決するために、専門機関を訪れます。

 

そして、専門家が分析した所、当時のレーダー管制記録から、その物体は、科学的に見て、ほぼ間違いなく

 

「飛行機であった」事が解明されます。

 

その方は、「そうか、やっぱり、あれはUFOではなく、飛行機だったのか」と、一旦は納得します。

 

ここからがとても重要なのですが、心の中には、「恐れ」「恐怖」「不安」の感情は残ったままです。すると思考は、この感情に支配されているので、再び、上空に同じような光を見た時に、

 

「間違いない。やはり、UFOは存在する」

 

という思考に舞い戻ってしまいます。

この方にとって、本当にやらなければならない事は、UFOか飛行機か?を論じ合う事ではなく、「恐れ」「恐怖」「不安」の感情を、心の中から取り去る事が必要になってきます。

 

 

【不安・恐れが生み出される仕組み】

 

 ●その1

例えば、突然、刃物を持った通り魔に追いかけられる状況でもない限り、

日常生活において、恐怖・不安は、単なる「感情のメッセンジャー」に過ぎません。

 

それは、知能を持った人類にとって、健全な感情であり、正常なことです。

 

シンプルに考えると…

ヒトは、無鉄砲で怖いもの知らずには作られていないのです。誰もが、大なり小なり恐怖・恐れの感情を抱き、これを利用して、危険を回避したり、問題を解決したり、前に進む能力をもっていたりしています。

 

●その2

全ての恐怖や不安は、未知の「Xと言う事象」(人、物、出来事、境遇)に対する、自らの考えによって、生み出されています。

 

恐怖や不安は、今この瞬間に目の前で起きている事に起因しません。

 

「心の声」に対する、感情的な反応である事が多いです。

 

●その3

恐怖や不安は、殆どの場合、未来思考によって生み出されています。人は、これから(1秒後、1時間後、1日後、1週間後、1カ月後、1年後)起こるかもしれない「何か」に対して、常に恐怖や不安を抱いています。

 

●その4

恐怖や不安の根源が、「思考」に由来する事。その中でも、未来思考から生み出されることが、論理的にわかれば、

 

そこから離脱するための「力の源」を見つけたのも同然です。

 

何故なら、思考は今、この時から変える事が出来ますし、未来はまだ来ておらず、現在においては、まだ「現実」ではないからです。

 

この事が、恐怖と不安に対抗できる「力の源」である理由は、以下に上げるプロセスを踏めば、意識的にその思考プロセスを抜け出す事が出来ます。

 

ただ、ココで妨げになってしまう点は、ヒトの心は、

●習慣的な思考パターンと

●ネガティブな未来志向に陥りやすい傾向があります。

 

しかしながら、そのような考え方は、チョットしたテクニックを知るだけで、簡単に取り除くことができます。

 

●その5

まず、アナタの感情が、心を支配しているのか?それとも、心に支配されているのかを自覚する必要があります。以下に上げる取り組みを行えば、自分の心はコントロールできますし、思考を変えることも可能です。

 

「現実」(事実ではない)は、自身の思考によって生み出されるものです。

それは、パラダイム(認識や枠組み)に基づくものです。

 

パラダイムとは、人生を感じ、選別し、解釈するときに用いる「レンズ」のようなものです。

 

ですから、今、感じている恐怖と不安は、目の前の「もの」によって生じている訳ではありません。それは、その「もの」に対する、気持ちのズレから生じているのです。

恐怖や不安は「状況」ではなく、自身の「認識」の中に発生しているに過ぎません。

 

●その6

不安と恐怖から離脱するための、新しいポジティブな考えをもつためには、

1.自分自身は「心」ではなく、

2.「思考」でもない事を知る必要があります

 

ここが、とても重要になりますが、自分の思考を俯瞰(ふかん)できる「自覚のある意識」です。

俯瞰とは、高い所から見下ろす、第3の目を持つことです。

 

これが、恐怖や不安を克服する、最初の糸口になります。心の中のノイズとは「距離」を置き、とらわれないことが大切です。

 

【自覚ある意識を得るためのステップ】

自分と言う存在は、「心」や「思考」ではなく、

「自覚のある意識」であることを、体験するための、簡単な方法をお伝えします。

口臭と言う不安から解放される、重要なステップです。是非、チャレンジしてみて下さい。

 

ステップ1:目を閉じて、1分間、自分の思考に意識を集中し、それを、客観的に見下ろす第三者の目で、ジッと観察してみてください。

 

ステップ2:1分たったら目を開けて、それが、どんな思考だったかを考えてみます。

それは、何でも良いです。例えば、

●「夕飯の献立は何にしよう?」

●「明日のゴミ出しは、缶ビンだったかな?」などなど、

 

ステップ3:最後に、以下の質問を自問自答してみて下さい。

 

「今、あなたの思考を観察していたのは、誰、あるいは何でしたか?」

 

「思考」は、自分を見ることはできません。同様に、

「心」は、自分を観察することはできません。

 

今、あなたの思考を観察して、言葉にできたのは、思考でも心でもない、何かが存在したからです。つまり、そこには、自分の知らない側面が存在しているのです。

 

この、思考を観察していた「もうひとつの側面」こそが、あなたの「自覚のある意識」です。

 

頭の中のノイズの全てが、

●自分自身であり、

●現実のものであると考えてしまうと、

 

閉じたループにはまり、その悪循環から、抜け出す事が難しくなっていきます。

 

しかし、それ以外の選択だってできるはずなのです。

 

自分が「思考を俯瞰できる、自覚のある意識が、確かに存在している」と気づいたその瞬間、恐れや恐怖の思考を遮断して、現在の状況を書き直す「力」を持てるようになります。

 

そのためには、以下に上げる方法で、「自覚のある意識」を利用してみる事が重要です。

 

【恐怖と不安を断つ4つのステージ】

これは、「現実vs虚構のエクササイズ」と呼ばれる方法です。

これを会得すれば、自覚のある意識が強化され、不安と恐怖の未来志向の考えを断ち切り、心の方向性を変えることができます。

 

口臭に由来する、恐怖や不安を経験する度に、以下に上げる取り組みを実施します。何度でも繰り返すことにより、口臭と言う不安からの、完全な離脱が可能になります。

 

まず、スマホのメモ機能や、出来れば、ペンとノートを持参しましょう。

心の中にある恐怖や不安の声を観察する取り組みの始まりです。

 

●ステップ1

以下に示す、空欄に思いを書き込みます。

 

「今、私が特に恐怖または不安を感じているのは、_   _  です。」

 

今回の場合は、下線部に「口臭」と言う文言が入るはずです。次に、この不安をもたらしているのは、どんなイメージが、心に浮かんだからですか?

できるだけ詳細に、頭の中を巡っている、全ての思考に対する答えを出します。

 

●ステップ2

次に、それに肉付けをしていきます。

先ほどの空欄を埋めた文言(今回の場合は口臭)に対して、

自己が認識している、絶対的な現実を書き出します。

 

ココは非常に重要な工程です。自分に正しく向き合い、残酷なまでに、自分に正直になってください。

 

例えば、

 

「今、私が特に恐怖や不安を感じているのは、口臭であり」

1.友人とも楽しい会話が出来ない事に恐れています。

2.仕事の営業成績も向上しない事が不安です。

3.これからも、趣味への挑戦もできないので、将来が心配です。などです。

 

この記述における絶対的な確定された事実は、

「現時点で口臭が気になっている」という事だけで、その他は、全て確定された現実ではありません。

 

●ステップ3

今度は、現実の上に重ねていた解釈を書き出してみます。

 

すなわち、

1.で書いた内容のうち、

2.で判明した絶対的な現実を除く…全てです。

 

これから起こるかもしれないという予測や、現実に対して、自己が考え出した「ストーリー」などです。

 

それこそが、心の中に閉じ込めていた、「恐怖」や「不安」そのものです。

 

●ステップ4

現実と虚構を分離した事で、

ようやく、両者を見分けられるようになりました。

 

この段階になって、心が予想することは、自分のためにならないことが、徐々にわかってきたと思います。それこそが、恐怖や不安の正体です。

 

しかし、

 

予想は、自分にとって有効であると感じるかもしれません。

ネガティブな考えは、今は現実ではなくても、将来、起こる可能性が、非常に高いと主張したくなるかもしれません。

 

でも、どんな問題にも、その他の選択肢は存在し、可能性は無限にあります。

 

今、心は、自分を小さく閉じ込めるシナリオの方を選び、恐怖と不安の循環を繰り返しています。ポジティブな選択ができる状況下でも、つい、ネガティブな面を見てしまうのです。

 

力強く生きるための思考パターンを生み出すように、

心にリーダーシップを与えるのです。

 

上空から見下ろす第3の目による「自覚のある意識」を利用して、ポジティブな考えをもてるように、この状況であなたが選択できるあらゆる視点を書き出してください。そうすることで、前向きな思考を生み出し、新しい未来予想を描くことができるでしょう。恐怖や不安であふれていたストーリーを、新しいストーリーで上書きするのです。

 

思考パターンの詳細分析を行い、ポジティブな新しい視点でそれらを上書きすると、パラダイムシフトが起こり、今よりも、もっと自由になれるでしょう。それは、人生を見つめるレンズを変えていく作業なのです。

 

もし、患者さん自身が、自分一人で、この工程を歩むことが難しければ、私も一緒になって、ノートの作成には協力していきます。実際に、この作業を繰り返す事で、口臭と言う悩みから、綺麗サッパリ離脱した方を、何人も見てきました。

 

口臭からの完全な離脱には、「恐怖・不安」の感情を、思考から取り去る事が、非常に重要になってきます。