普段口臭治療をしている中で、患者さんからの訴えとして、
「鼻から、鼻臭が出ているような気がする」と言う訴えを聞く時があります。そうした患者さんには、鼻の穴にシリンジを挿入して、「鼻息を採取」して、鼻からのニオイを測定機にかけて、鼻臭を測定する時もあります。
仮に、鼻臭が検出された際には、耳鼻科クリニックにも紹介する時もあります。
今回は、鼻臭に関して考察しておきたいと思います。
身体の組織は、感染により炎症が起きてきます。この時に免疫システムが働き、菌と免疫が戦いをはじめ、健康な状態に戻ろうとします。この時に残りカスとして「代謝産物」を生成します。これは、菌の死骸と言っても良いでしょう。
この戦いの果てが、膿みだったりする訳ですが、これが、時としてニオイに繋がるのです。
歯肉も鼻の粘膜も全く同じで、鼻臭の原因は、鼻のニオイを引き起こす病気が上げられます。
●副鼻腔炎
実は、頭蓋骨は、骨だけで満たされていると重くなってしまうので、前頭洞、上顎洞、篩骨洞、蝶形骨洞など、多くの空洞(副鼻腔)を抱えています。この副鼻腔に炎症を起きてしまうと、ニオイにつながる可能性が出てきます。副鼻腔炎には、急性と慢性があります。
急性は細菌やウイルス感染で発症し、膿性鼻漏と頭重感、頬の痛みが症状です。
慢性は副鼻腔にたまった、分泌物や膿が、うまく排出できなくなった状態です。
特に、慢性の場合は、膿がたまり鼻水に臭いが出てきます。どぶ川の様な臭いが出てきます。
この副鼻腔炎は、放置しておくと、ポリープができて、さらに鼻が詰まり、最悪の場合、その炎症が、目の神経や脳にまで波及し、視力障害・頭痛、髄膜炎を随伴するようになるので、注意が必要です。
●副鼻腔真菌症
副鼻腔真菌症とは、副鼻腔内に、文字通りカビが増殖してしまい、クサイ鼻水、鼻づまり、口臭、倦怠感がでる疾患です。車のエアコンのから出てくる、「カビ臭」と同じ臭いが出てきます。
このカビを除去したり、投薬したりする事は、なかなか難しいので、一般的には、手術によって除去する処置が必要になります。
●萎縮性鼻炎
萎縮性鼻炎とは、鼻の中の粘膜が、角化により硬くなって乾燥し、かさぶたができて、粘膜に器質的な異常が生じる疾患です。特に、対中のホコリ、ゴミ、花粉、黄砂などを除去する働きが正常に機能しなくなるので、常に、鼻の中が不衛生な状態に傾き、不快な臭いが出てしまいます。洗濯物の部屋干し臭のようなニオイが出てきます。
●慢性鼻炎
慢性鼻炎とは、鼻粘膜が長期間にわたり炎症を起こしている状態です。炎症による刺激によって、粘膜が腫れて盛り上がり、空気の通り道が狭くなり、息苦しくなったり、慢性的な鼻づまりになったりします。慢性鼻炎が副鼻腔炎を合併している場合は、鼻や口から悪臭が出ることがあります。発症の原因はさまざまで、ダニや花粉などのアレルギー物質、大気汚染物質、風邪などが挙げられます。
もし、鼻からニオイが気になった時には、その臭いを「言語化」してみると良いでしょう。
そして、歯科・耳鼻科・内科が連携し、その臭いがどこから由来しているのか?の、確定診断が必要になってきます。