8月某日、週刊誌の『女性自身』に、
「口臭がキツくなる生活習慣の3択クイズ」が掲載されました。
コロナが蔓延してもうすぐ2年、雑誌・WEB記事・テレビ取材など、メッキリ減ってしまいました。
口臭をテレビで取り上げる時、どうしても、患者さんの口の前に来て、「ハァー」とやってもらう「絵」が必要になってきます。
この行為が、感染と非常に密接に関連してくるので、こうしたシーンをテレビで流してしまうと、視聴者から「コロナ禍で、何をしているんだ!」と言う意見が出て、番組自体が、大炎上してしまう事にもなりかねません。
番組的に、非常にまずい訳です。
そんな中、以前に女性自身の雑誌取材でお世話になったライターさんから、
「久しぶりに口臭の企画を出したら、編集部の企画が通った」
という連絡が入り、めでたく、雑誌に掲載されました。
今回は、「クイズ形式」になっています。
殆どの設問は、このブログで紹介したものがベースになっています。こんな所にも、日頃から口臭ネタをアップしているメリットがある訳ですね。
それぞれの設問の回答は、誌上で確認して頂くとして、
今回は、「嗅覚と漢方薬」について、最新の知見をご案内したいと思います。
今までも、「鼻炎」「鼻つまり」などを主治する漢方薬は市場にありました。具体的には、
「辛夷清肺湯」(しんいせいはいとう)
「小青竜湯」(しょうせいりゅうとう)
「荊芥連翹湯」(けいがいれんぎょうとう)
「葛根湯加川芎辛夷」(かっこんとうかせんきゅうしんい)
などです。
どれも、体質別に証の見立てを誤らなければ、良く効く処方です。
しかしながら、「失われた嗅覚を回復させる」明確な効能を持った漢方薬はありませんでした。
コロナウィルスに感染した事により、後遺症として嗅覚が失われてしまう方が出ています。ワインのソムリエ、調理師、調香師などを生業とする方にとっては、まさに死活問題に成り兼ねないリスクを抱えています。
そんな中、コタローから、「麗沢通気湯加辛夷」(れいたくつうきかしんい)と言う漢方薬が販売されました。
過去の症例報告で、外傷により、嗅覚が全消失した患者にも奏功しているので、嗅覚が失われて困っている方には、試してみる価値のある処方です。論文にもなっているので、効能が見込めると思います。
https://www.jstage.jst.go.jp/article/kampomed/61/5/61_5_718/_article/-char/ja/
処方構成は、
●黄耆(オウギ)、白芷(ビャクシ):各3.2g、
●独活(ドッカツ)、葛根(カッコン)、蒼朮(ソウジュツ)、防風(ボウフウ)、辛夷(シンイ)、羌活(キョウカツ):各2,4g
●升麻(ショウマ)、山椒(サンショウ)、生姜(ショウキョウ)、甘草(カンゾウ)、麻黄(マオウ)、大棗(タイソウ):各0.8g
となっています。
元々は、麗沢通気湯と言う漢方薬がありましたが、コタローから発売されたものは、辛夷を加える事で、パワーアップしています。
口臭を気にしている方の中には、「自分の嗅覚が全く感じない…」と、訴える方もいます。
自分のニオイを感じる事は出来ないのに、口臭がある…と、悩んでいる訳です。
そうした患者さんは、日常生活における、相手の素振りで、見当をつけている訳です。
実際に、口臭測定器で測定した時に、臭気が確認され、なおかつ、嗅覚が衰えている患者さんに対し、あくまでも、口臭を主治する目的で、本剤を試してみようと思っています。