みうらじゅん氏にハマってしまう

 

9月某日、NHKを視聴していたところ、「達人たち」と言う番組が放送されていました。2名の著名人が対談形式で語り合う…と言うプログラムでした。

 

たまたま見たその放送回の片方の方は、よく知っている方でした。

 

平成ガメラシリーズの特撮監督を担当した、「樋口真嗣」さんです。

私は、中学生になったころ、将来の仕事に、「特撮監督になりたい」と言う淡い夢を抱いていた時期がありました。

その為に、樋口監督が作った、この怪獣映画は、特撮のツボを心得ており、

「コレ、コレ。こういう映画を作ってくれる人を求めていたんだよ」

と言うくらい、私の趣味・嗜好にドンピシャの作品でした。

 

そして、もう一方は?と拝見してみると、長髪・ひげモジャの「みうらじゅん」さんと言う方でした。何となく存在は知っていましたが、この方の詳しい来歴は、知りませんでした。タモリ倶楽部などで見かけたことがあり、サブカルチャーを表現するクリエイター…位の認識でした。

 

お二人の語りを視聴にするにつれて、ドンドン引き込まれて行き、いっぺんで、みうらさんの話にくぎ付けになってしまいました。

同氏の事をもっと詳しく知りたくて、YouTubeで検索した所、同じNHKで、「最後の講義」に登壇されており、若い方に授業をする言う番組に行きついて、食い入るように見てしまいました。

 

 

氏の語る内容が、あまりにも私の考えに近いので、いっぺんで好きになってしまったのです。

みうら氏は、「名付けの天才」です。

流行語大賞を受賞した、「ゆるキャラ」も、同氏が造語しました。各地方自治体が、我が町を代表するシンボルとして、

渾身のアイデアで作り込んだ…そのお姿は、本来でしたら「イケキャラ」として売り込んでもらいたい面々を、

あえて、「ゆるキャラ」と表現する所に、同氏のセンスが伺えます。

私達の日常に染み込んだ慣れ親しんだ固有名詞を、チョット変えて、全く新しい意味を持ったものに変身させてしまうのです。

 

① 「老いる」ショック

番組に登壇したみうら氏は、還暦を迎えたようで、赤いちゃんちゃんこで登場します。子供時代の写真から、自分の成長記録を、

プロフィールと共に紹介してくれます。

その中で、徐々に自分の老いに気が付いていきます。

(そうそう、オレもそうなんだよね…と言う部分満載で、笑えます)

みうら氏は、老いを重ねて行く…やがては自分がいなくなる…と言う死生観を交えて、若者に現生で何ができるか?を、

独自の視点で問いかけます。

 

その中で、「自分探しの旅は、するな!」と、訴えます。

 

すればする程、やりたい事が増えて、「煩悩」が増すばかりだと、説諭します。

むしろ、「自分無くし」の旅をして、ドンドンいらない自分をそぎ落とし、最後に残った本質を見つめなさいと主張しています。

 

膝を叩いて、激しく同感します。

 

仮に自分探しをして、ようやく見つけた「自分」に行きついた時、第三者である雇用主から、その自分が求められていなければ、

自分探しは、全く無駄であったことを意味します。

 

今まで自分では気づく事が出来なかった「自分」は、実は、面接官や上司が見定めてくれるのです。

 

「自分」が認識している、「イケてる自分」と、

社会が求めている、「アナタらしさ」には、大きな乖離が存在しているのです。

 

もういっぺんで、「この人スキ」と、なってしまいました。

 

② いやげもの

こちらは、土産物(みやげもの)の語呂遊びから出た造語です。

「いやげもの」とは、誰かが買ってきてくれた、お土産の中で、

「どうして、この人は、これがイイと思って、買ってきたのだろう」

と言うトトホな、小物です。

 

例えば、「いやげもの」の中には、チープな金色のプラスチックでできた東京タワーの置物とか、ゴムでできたヘビのビックリグッズ、グロテスクなカエルの置物などです。

 

みうら氏は、こうしたお土産を、処分しないでコレクションしていきます。

 

それを、「みうらじゅん展」のお披露目の時に、芸術的なオブジェとして公開するのです。

続けて氏は解説します。

 

ヒトには、好き嫌いが存在します。

好きなものを、好きでい続けても、やがて限界が来ます。

ここから、もう一歩進めて、

嫌いなものを…好きになってみる。嫌いなものの本質を掘り下げて、何で嫌いなのかを見つめ直して、好きになってみる…

この時に、独自の視点が生まれて、オリジナリティが芽生えるのではないか?と、解説しています。

 

「正に、その通り!」

 

益々、みうら氏を好きになってしまいました。

 

私は片付けが苦手です。その事についても、みうら氏は、落語協会の立ち位置を例に挙げて、

「立川・断捨離」→(新派)

「桂・収集」→(古典派)という表現で、その違いを解説しています。

もう、腹を抱えて、笑い転げてしまいました。

 

③ フーテンの寅さんを目指す

みうら氏の最終目標到達点は、フーテンの寅さんになる事だそうです。

私も、このブログで、何度か、「フーテンのジョー」へ、チャレンジをしています。

 

「寅さん」の「とら」は、「トラベル」「トラブル」「トライ」などを連想させる文言として、「寅」なのです。

 

「あいつ、何やっているんだ」

「いい年こいて、バカじゃないの」

「もう、しょうがないヒトねぇ」

 

は、「誉め言葉」なのです。

また一人、この人から多くの事を学び取りたい…と言うメンターが現れました。しばらく、

みうらじゅん氏の追っかけをしてみようと考えています。