1月某日、映画スパイダーマン最新作「ノーウェイホーム」を見てきました。内容はネタバレになるので割愛しますが、ファン垂涎の内容で、シリーズの締めを飾るにふさわしい仕上がりでした。
ところで、この「蜘蛛」ですが、肉食性の陸上節足動物に分類されます。主人公のスパイダーマンは、手からネット状の糸をシュッと出しますが、リアルな蜘蛛の中で、網を張って捕食する種類は、全体の半数ほどだそうです。何となく、忌み嫌われる蜘蛛ですが、ヒトに害を及ぼすような毒を持つ、タランチュラの様な種は、ホンの数種類だけです。
でも、私のイメージは、蜘蛛は他の虫よりも、何となく嫌な感じがします。
ひとくくりに「虫」と表現しましたが、実は蜘蛛は、昆虫や多足類のような陸生節足動物と考えがちですが、六脚に属する昆虫とは全く別のグループに属しています。
お姿をよく見ると、以下の点で、昆虫と大きく異なる姿をしています。
●脚の数が8本
●身体の構成は、昆虫のような3分割ではなく、頭と胴の2部構成であること
●触角を持たないことなどが上げられます。
【生薬としての蜘蛛】
実は、この蜘蛛も、生薬として重用されています。
特にコガネグモ科のオニグモは、「全虫」を用います。オニグモはダイミョウグモともいわれ、日本では一般的な蜘蛛で、全土に分布しています。全体が茶褐色で腹部は丸みを帯びて大きく、体長はオスが約2cm、メスが約3cmほどです。夕方になると大きな円い網を張り、朝になると、何故かせっかく作った網をたたんでしまう習性があります。
生薬では、生きたまま沸騰した湯に入れて、その後乾燥して保存します。
生薬の効能は、解毒・消腫の作用があります。
特に、陰囊ヘルニア・顔面神経麻痺・卒倒・虫刺さされの腫れに良く効きます。古典として有名な「金匱要略」の中には、陰囊ヘルニアの症状で、蜘蛛をあぶって桂枝と混ぜて服用すると効果的気の記載があり、「蜘蛛散」と言う名前まで付与されています。
その他では、女性用媚薬として、商品名『紅蜘蛛』(ベニクモ)と言う、粉剤も市販化されています。但し、このベニグモには、蜘蛛の生薬は配合されていません。主成分の「インバーマ」というハーブ抽出エキス成分が、興奮剤である事から、名前だけに蜘蛛が用いられるようになりました。やはり、肉食の特性が災いして、メスがオスを捕獲して食べてしまうイメージから、この名が付いたのかもしれません。
何となく、ベニグモを飲んだ奥方が、ギラギラした目で迫ってくる事を想像すると、気持ちもなえてしまいそうですね。