コロナ禍での経済の影響と、ロシアのウクライナへの侵攻などを踏まえ、3年前から、歯科用金属の高騰に歯止めがかかりません。
保険診療において、通常、2年に1回の大幅な改正があるのですが、金属価格だけは、年に4度、見直しが行われています。
その位、相場が安定しないのです。
虫歯治療で作る、充填物・全部被覆金属冠や、歯の欠損部位に装着する入れ歯などの補綴治療では、金銀パラジウム合金(金パラ)が使われています。その歴史は古く、戦後、保健医療体制が整うのと同時に、我が国の歯科用金属に用いられるようになりました。
その素材自体は、金属アレルギーの方を省けば、身体に大きな弊害がない、安定した素材です。
見た目は銀色ですが、金も12%含有されています。
この歯科治療に欠かす事の出来ない金パラの価格ですが、厚労省は、何故か2021年10月のタイミングで、本来であれば見直す時期だったにもかかわらず、歯科用金属4種の価格を改定せず、算定に誤りがあったと、公に認めました。
全日本民医連は、厚労相に対し、
① 金属価格の試算方法の検証を可能にするための透明性の確保、
② 歯科材料価格の決定方式の公開と技術料の適正評価により保険診療での「逆ザヤ」の解消する事の、2点の要望を出しました。
【働けば、働くほど、赤字が続く逆ザヤ問題】
金属価格の高騰で、保険点数が材料費のバランスが見合っておらず、患者さんに金属を使う仕事をすれば、ドンドン赤字になる。「逆ザヤ」が発生しています。
金パラ合金の市場価格は、98年頃は30グラム1万円弱だったものが、現在は、10万円以上にまで跳ね上がり、約10倍以上高騰しています。
この事は、保険償還価格が、実勢価格を下回る「逆ザヤ」が起きていて、大幅な赤字経営が続いています。私達歯科医師は、医療機関の持ち出しという「献身的努力」によって、治療が成り立っている状態です。
このしわ寄せは、歯科医院だけではありません。
一般的に、歯科技工物は、委託外注する事が一般的です。技工所も金属価格を安くする事は出来ないので、技術料の部分で、単価を引き下げざるを得ない背景があります。その為に技工所は、経営を安定させるために、仕事を低コストで引き受け、長時間過密労働する事を強いられています。その結果、海外の技工所への発注や、ワーキングプアによる技工士の減少、教育機関の減少など、随所に問題が波及しています。
【コロナとロシアの侵攻の影響】
金属高騰を、そのまま保険点数に反映させてしまえば、当然、一部負担金の増額と言う形で、患者の自己負担の額も上昇します。
諸外国では、金属を使わない、メタルフリーの医療に移行しています。ただ、一部の例外を省いて、身体に優しいセラミック素材などの普及も、保険の財源には組み込みにくい一面があります。
長期化するコロナ禍の影響で、医療機関を受診しない傾向が出ています。それに加え、産出国であるロシアの情勢不安により、ますます入手が困難になってきています。
早く世界の諸問題が解決し、平成な世の中に戻る事を願っています。
この歯科治療に欠かす事の出来ない金パラの価格ですが、厚労省は、何故か2021年10月のタイミングで、本来であれば見直す時期だったにもかかわらず、歯科用金属4種の価格を改定せず、算定に誤りがあったと、公に認めました。
全日本民医連は、厚労相に対し、
① 金属価格の試算方法の検証を可能にするための透明性の確保、
② 歯科材料価格の決定方式の公開と技術料の適正評価により保険診療での「逆ザヤ」の解消する事の、2点の要望を出しました。
【働けば、働くほど、赤字が続く逆ザヤ問題】
金属価格の高騰で、保険点数が材料費のバランスが見合っておらず、患者さんに金属を使う仕事をすれば、ドンドン赤字になる。「逆ザヤ」が発生しています。