黒い舌について

 

最近、患者さんから、舌が「黒くなってきた」と言う問い合わせを受け付けました。

この「黒毛舌」に関して、西洋医学と東洋医学の観点から考察してみます。

 

 

西洋医学と東洋医学の、2つの側面から考察してみましょう。

 

●西洋医学的には

抗生剤の長期間服用や副作用で発生する事があります。また、喫煙や口内を不衛生にしても、舌は黒くなります。

 

一般的に、抗生物質の服用で、口腔内の菌バランスが悪くなると、「菌交代現象」が起きます。この現象は、抗生物質で、腸内細菌が殺菌されリセットすると、下痢をする事でも分かります。

 

口内においても同様で、黒色色素を産生する嫌気性菌や真菌が増殖すると、舌の上が、ビックリする位、真っ黒になるので、何か大病になったのではないか?と不安になって、問い合わせを受けるのです。

 

加えて、胃腸障害、糖尿病、腎障害などが複合すると、より黒毛舌を誘因すると言われています。ほとんどの場合、一過性の現象として、体調が回復するごとに消退していきます。

 

●東洋医学的には、2つの可能性があります。

最も疑う体質は、舌の上が「黒紫色」を呈していれば、「瘀血」を疑います。

 

ややドロドロ血に傾いている体質です。黒紫舌の所見に加えて、目の下のクマが黒ずみ、爪の甘皮の部分が紫色だったら、この体質を強く疑います。

 

加えて、舌を裏返して、舌下静脈が、ボコボコ節くれだって怒張しているようであれば、この体質が確定です。

 

もう一つは、胃熱の火力が燃え盛っている体質でも、舌は黒色へと変化していきます。暴飲暴食などで、胃腸に負担をかけると、それでも人体は、胃袋に受け入れた飲食物を消化するために、溶鉱炉のように熱量を上げて、飲食物を溶かそうとします。

 

その燃え盛った熱量が、舌苔を焦がした時に、舌が黒くなるのです。

 

通常舌苔は、白から黄色を呈する事が多いです。これが、茶色→焦げ茶色→黒色まで変化してきます。

 

苔の色は、その方の「胃熱」の病勢を伺う事が出来る、重要な指標になります。

舌が黒くなった時は、髪の毛が燃えた時に出るような、焦げ臭いニオイが出てきます。

 

舌が突然黒くなったら、歯科口腔外科などを受診する必要があるでしょう。