カサンドラ症候群について

 

最近相談を受けた患者さんで、どうにも私では荷が重い症例があり、最終的には、心療内科と連携した経験を備忘録として記録に残しておきましょう。

 

【カサンドラ症候群】

カサンドラ症候群とは、婚姻関係にあるパートナーや、家族構成の中に、発達障害の一つであるアスペルガー症候群(ASD)の既往を持った方が存在した場合、その方とのコミュニケーションや情緒的な相互関係を築くことが困難となり、周りの人に、不安や抑うつなどの心身の不調が起きてくる身体の不調を指します。

 

今回の相談者は、配偶者が、アスペルガー症候群ではありませんが、難病指定されている別の疾患に罹患していました。その症状にも、情緒が不安定になる側面があり、広義の意味で、カサンドラ症候群の範疇に入るのではないか?と思い、相談に乗った訳です。

 

 

このカサンドラ症候群は、2003年に初めて提唱されましたが、正式な症病名ではありません。そのために、診断名と言うよりは、身体の変調全般の「状態の変化」として捉えることになります。

 

【原因】

心的ストレスの事実を、アスペルガー症候群の疾患を抱えるパートナーや周囲の人も、なかなか理解する事が難しい事から、本人だけが悩み苦しみ、徐々に孤立した状態になっていきます。

 

主にアスペルガー症候群の患者さんの症状は、主に3つ存在します。

●コミュニケーションの問題

●対人関係の問題

●限定された物事への執着と興味です。

 

こうした素養を抱えている方と接する、配偶者やパートナーには、以下のような症状が出てきます。

 

【症状】

片頭痛、めまい、体重の増加または減少、自己評価の低下、パニック障害、抑うつ、無気力、易疲労感、自律神経失調症などです。

 

どちらも、「私が頑張れば大丈夫!」と言う意識背景を元に、かなり症状が重くなってからでないと、患者さんが訴える事が出来ないお悩みです。

 

今回私が担当した症例も、口臭測定器で何回測定しても、口臭は検出できませんでした。ところが、患者さんは、配偶者からの「おまえ、臭いんだよ!」と、日々言われ続けた事をきっかけに、常に口臭の不安を抱え、「絶対口臭があるので、診て下さい」と訴えてきました。何回測定しても、口臭は出ていません。確かに、東洋医学的は、明らかに「気虚」の状態でしたが、私では荷が重いので、早々に、心療内科の紹介をした次第です。

 

心因性の口臭・心身症・不安神経症などを疑う症例では、心療内科の受診が必要になります。