最近、患者さんからの問い合わせで、
「漢方薬を服用したら、小水が黄色くなった。大丈夫なのでしょうか?」
と言う、問い合わせを頂く事があります。
尿の色は、身体の変調を示すバロメーターの一面もあり、同じような問い合わせを頂戴した時にも、一つの指標となる事から、今回まとめてみました。
【尿の変色・着色すしやすい生薬】
最も関連性がある生薬として「大黄」(ダイオウ)が上げられます。
瀉下剤・便秘薬の時に加味する生薬です。ダデ科のダイオウ属の植物の根・根茎を乾燥したものです
効能は、通便・清熱・消炎であり、便通を促す事で、身体の熱邪を排出したり、体に溜まった毒素を排出したりする事で、炎症反応を鎮静する働きがあります。
主成分は、「センノシド」という配糖体の成分が、腸内細菌の働きで形態をかえ、腸の蠕動運動を鼓舞し、腸管壁の粘膜も刺激し作用し、便通を良くします。
その際に 尿の色が茶褐色に濃くなったり、時として、赤みを帯びたりする事もあり、患者さんはビックリしてしまう訳です。ここには、その時の尿のphが関係しており、黄褐色~赤色に変色する事が多いのです。
ただ、この尿の変色・着色は 大黄の成分が変化した物が、尿中に排泄されただけなので、臨床的には心配される必要は殆ど無いです。
ただ尿の変色・着色は、尿路出血、膀胱炎、腎臓病、肝臓障害によっても出てくるので、注意が必要です。
【大黄を含む漢方薬】
大黄甘草湯・防風通聖散・柴胡加竜骨牡蛎湯・桃核承気湯・麻子仁丸などに含有されています。
一方、西洋医学的に考えてみると、
代謝によって、古くなった赤血球が分解された過程でできる成分の色です。身体の中を流れる赤血球は、内部にヘモグロビンという赤色をした淡泊分子を大量に含んでいます。出血した血液が赤く見えるのは、この血色素であるヘモグロビンの色と言えます。
身体の中で、古くなった赤血球は、まず脾臓で分解されます。この時に、ヘモグロビンも一緒に壊されて、「ビリルビン」という成分に変化します。実は、ビリルビンは黄色い色味を持ちます。
そして、重要な点は、このビリルビンは、肝臓を経由して腸へ送られ、殆どは大便として排泄されますが、その内の一部は、腸内細菌の作用でウロビリノーゲン(黄色)に変化した後、再吸収されて腎臓に送られ、尿として排出されます。最終的に、大便中では、さらに代謝が進行し、ステルコビリン(褐色)に変化し。特有な大便の色になります。
この事から、大便の色が濃い人は、尿の色も黄色くなる傾向にあり、どちらも、元をたどれば、血液の色であるヘモグロビンに由来している訳です。
肝臓病が進行し、黄疸が出るようになると。小水が黄色くなることもあるので、いつもと違う変化を見たら、早めに専門機関を受診する必要があります。