飲酒と悪夢のメカニズムと、悪夢の記憶

 

完全下戸の私が、サンプルで頂いた養命酒を飲んでみたら、身体にある変化が訪れました。

それは、服用した日の夜に、必ずと言ってよい程、「悪夢」を見るのです。

ただ、熟睡した感じはあるので、眠り自体はとても深いのです。

しかも、何故かその悪夢を、翌朝目が覚めた後でも、明瞭に覚えているので、厄介なのです。

 

 

今回は、何故悪夢を見るのか?そして、何故、それを覚えているのか?について論じてみましょう。

 

【飲酒と悪夢】

まず、身近な所で、のんべぇのカミさんに聞いてみました。

「養命酒を飲むと、必ず嫌な夢を見るんだけど、そんな経験ある?」と聞いてみると、あっさり答えが返ってきました。

 

「酒飲みは、大なり小なり、みんな悪夢を見ているのよ」と言う回答です。

 

下戸の私から見れば、場末の居酒屋で、つぶれる程飲んでいる方は、職場で嫌な事があり、それを忘れるために飲酒をしているのだと思っていましたが、酒を飲んだ日の夢にまで、嫌な思いをして就寝しているのだとしたら、少しこっけいです。

 

「何のために、お酒を飲むんだか、全く分かりません」

 

「お酒を飲めば、よく寝られる」と言う習慣は誤りであるらしいのです。

確かにアルコールは、飲酒直後には入眠を促しますが、アルコールが分解された後の副産物として、アルデヒドが血中に蓄積してくると、代謝されるまでの3~4時間後には、覚醒物質に変化し、眠りが浅くなってしまいます。

 

つまり、就寝前の飲酒は、寝付きはいいが、明け方、眠りは浅くなってしまうのです。

 

そして、この時に「レム睡眠」を抑制する効果が出て、結果的に朝方に悪夢を見てしまうのです。

 

もう一つ、気になる点として、実は「乳酸菌飲料」でも、悪夢を見る事が報告されています。

「眠りの質を改善する」の効能を標榜した、「ヤクルト1000」にお客様相談には、ヤクルトを飲むと悪夢を見る…と言う問い合わせがくるそうです。

 

こちらは、どうやらヤクルトの中に含まれる糖質に関係していそうなのです。

同様に、養命酒にも結構な量の糖分が含まれています。

 

糖分には、覚醒をコントロールする「オレキシン」を抑制する作用があるので、糖分を取ると眠気を誘発します。乳酸菌の影響と言うよりも、血糖値の上昇による眠気が関係しています。

 

しかし、糖分による入眠は、悪い事ではないですが、糖分が代謝されると、早期に覚醒に傾くので、結果的に眠りが浅くなり、明け方に悪夢を見てしまうのです。

 

就寝前の糖分摂取は、程々にした方が良さそうです。

それでは、なぜ、その悪夢を覚えているのでしょうか?そこには、別の機序が関係しているのです。

 

【悪夢の記憶】

夢を覚えていられることを「明晰夢」と言います。

 

脳内の神経伝達物質セロトニンやドーパミン、ノルアドレナリンを合成する時に、栄養は欠かせません。特にタンパク質とビタミンB群不足は、神経伝達物質の合成に影響を与えます。

 

その中でも、ビタミンB6は、夢の記憶に大きな影響を与えています。

 

B6は、全粒穀物、豆類、バナナ、アボカド、イモ類やほうれん草などの野菜類、乳製品、卵、魚や赤身の肉など、多くの食材に含まれています。そればかりか、特に、日本酒にもビタミンB6は、多く含有しており、明晰夢を起こやすくなってしまうのです。

 

日本酒には、アミノ酸、ビタミン、ミネラルなどの栄養素が含まれています。その中でも、「アミノ酸」と「ビタミンB6」が豊富です。

 

人間の体の約40%はたんぱく質で成り立っています。そしてビタミンB6は、たんぱく質の働きを補助する栄養素です。たんぱく質は筋肉と血液、神経伝達の働きを、ビタミンB6が補助します。

 

この事から、ビタミンB6を多く摂取すると、就寝中の脳の活動が活発になり、夢の記憶を保持しやすくなってしまうのです。

 

初めての飲酒で、脳の働きをビックリさせてしまったようです。