あらゐけいいち展と日常レストランを見て来た

 

待ちに待った、あらゐけいいち展と日常レストランに行ってきました。渋谷パルコには、電気自動車用の急速充電器が設置してあります。1万円の買い物をすれば、2時間の駐車料金が免除されるので、自分へのお土産を、思う存分「大人買い」する勢いで、参加してきました。

 

 

開店直後に出向いたにもかかわらず、場内は、女子の二人連れ、若いカップル、小さな子供を連れた親子連れなど、多くの「日常」ファンで賑わっています。

 

ボッチで参加の還暦オヤジは、全く場違いな雰囲気で、少々居心地が悪いですが、そんなことはお構いなしです。

 

興奮した子犬のように、息を弾ませながら、展示物をキョロキョロしていきます。

 

私がどうしても見たかったのは、あらゐ氏の「ネタ帳」です。10冊以上展示していました。

場内では、許可されたもの以外は、見るだけです。写真は厳禁です。

 

 

あらゐ氏が、どの様な思考で、「日常」と言う作品を作り上げたか?その一端でも垣間見たかったのです。

 

ページをめくっていく内に、「なのちゃんの誕生日」と言う箇条書きがあり、その上に、大きくバッテンで、ボツ案になった跡がありました。

 

なのちゃんは、日常のキャラの中でも、私が最も敬愛する、女子高校生ロボです。

 

 

つづいて、なのちゃんのメモ書きの両サイドには、「過去」と「未来」と言う、時間軸が図解されています。さらに、走り書きで、過去と未来を、「同時に表現する事は出来ないか?」と言う但し書きも散見されます。

 

あらゐ氏の作品への苦悩が伺えます。

 

「日常」と言う作品は、時定高校で繰り広げられる、シュールなギャグアニメです。

もし、この作品の中で、「なのちゃんの誕生日」を作るとしたら、1年進級した時になるかもしれません。これでは、日常の作品に、多少の破綻が起きてしまいます。

 

例えば、さくらももこ作の「ちびまる子ちゃん」も、小学校低学年の話です。話が毎年続くごとに、まるちゃんは、小学校高学年に進級したりはしません。

どんなに連載が続こうとも、ずっと、小学校3年生の世界観をループしている訳です。

 

その法則を、あらゐ氏は、作中で何とか打破しようと、アイデアを練っている訳です。

 

こうした試行錯誤があったからこそ、あの作品が出来上がったのだ…と、合点がいきました。

 

また、あるネタ帳では、こんな記述もありました。

「面白い話」「どうするか?」「面白いとは何か?」と言う、走り書きがありました。

 

すると、次のページに、「!」

「ビビった」「怖い」「苦しい」「怒った」「いやだ」などの感情も、面白いという範疇に入るのではないか?と言う書き込みがありました。

 

続いて、「面白い」≠「可笑しい」ではない!

 

二重線でアンダーラインが引いてあります。

これには、ナルホド!と、合点がいきました。

 

ここに、「日常」と言う作品の本質が隠れているようです。

 

また、他のネタ帳には、こんなイラストもありました。

それは、明らかに他の作家のタッチに寄せた「模写」を練習しているページでした。

手塚治虫風・石ノ森章太郎風・松本零士風などです。

メーテルのような、なのちゃんを見た時は、そのページをちぎって、持って帰りたい衝動に襲われました。

 

あらゐ氏は、雑誌インタビューで、「何か、影響を受けた作品はありますか?」と言う問いかけに、

「8時だよ全員集合」や「オレたちひょうきん族」を上げていました。

 

あの番組をリアルに見ていた世代なら、あらゐ氏は、間違いなく30歳代ではなく、40後半か、50歳代であることが伺えます。益々、親近感がわいてしまいました。

 

思うがままに写真を撮り終え、続いて予約していた「日常レストラン」へ出向きます。

期間限定イベントで、メニューも、日常のストーリーにのっとった物がラインナップされています。どの料理も、日常のファンであれば、ニヤリとするものばかりです。

 

私は、ゆっこが作って、ひっくり返してあたふたしたエピソードにまつわる、こちらのカレーを注文しました。

 

 

本編の中で、3人でキャンプに出掛け、せっかく作ったカレーをこぼしてしまい、その後、飯ごうで炊いたご飯も、おじゃんにしてしまいます。途方に暮れた3人は、お腹を空かせ、まいちゃんが持ってきた「ところてん」を食べようとしますが、

ブホッとむせてしまい、それさえも無駄にしてしまいます。

 

そんな顛末なので、出された料理にも、こぼしたカレーの他に、ところてんも添えてありました。ナントも日常愛にあふれたメニューです。

 

 

1万円の駐車券を捻出するために、カフェラテも注文します。カップの上には、ウエハースの上にプリントされた、日常キャラが添付されてきます。全10種類ほどです。何が来るかは運次第です。

 

出されたカフェラテの上に、なのちゃんが出された時には、「神様、ありがとう」と言う思いで、今年の運勢を、ここで全部使い果たしてしまったくらい、脳天がシビレてしまいました。

 

 

お腹一杯、気分も大満足、電気自動車も充電満タンで、帰路につきました。

いつの日か、あらゐけいいち氏には、サイン会を通じて、お目にかかりたいと思っています。