正しいくしゃみの作法と身体への害

 

花粉症の季節になります。幸い、私はまだ発症していないですが、実は、「くしゃみ」にも、医学的に正しい作法があるのです。

それを怠ると、思わぬ弊害が出てしまう…と言う話です。

そもそも、「くしゃみ」とは、身体に入ろうとした異物を、筋肉を使って、勢いよく吐き出そうとする防御反射なので、周りの人に迷惑をかけない範囲で、「ブウワッックショーン」とした方が好ましいです。

 

もし、我慢して小さく「クション」とやってしまうと、

 

排出しようとするガスが、副鼻腔や耳管の方に回ってしまい、そこで「気腫」に発展してしまうリスクもあります。空気も、人体にとっては「異物」になってしまう場合があるのです。

そればかりではなく、涙腺の方にガスが抜けた場合、涙腺炎に移行する場合もあるので、くしゃみが出る時は我慢せず、正しく口腔から吐き出す必要があるのです。

 

 

【正しいくしゃみの仕方】

「ハァハ…ハッ」とムズムズしたら、背中と首を脱力して丸くなります。この力を抜くと言う作業は、これからやってくる衝撃波を受け流す準備なので、超重要です。この時に硬くなってしまうと、以下に上げる障害が出やすくなります。そして、座位の時は、テーブルなどに肘を置き、緩圧する姿勢を取ります。立位の時は、軽くひざを曲げ、出来れば、壁や衝立、手すりに片手を添えて、衝撃を逃がす作業に入ります。

そして、いざ、くしゃみが出た時に、鼻や口を、ハンカチなどで強く抑えるのは禁物です。ただ、屋外では、感染予防の観点から、鼻と口から少し距離を置いて、ティッシュペーパーなどで軽くあてがうのが良いです。

 

【くしゃみのエネルギー】

くしゃみで排出される呼気の風速は、時速約320kmと言われています。また、その時に呼気に含まれる飛沫は、時速約36kmで、約4m先まで飛ぶといわれます。

 

くしゃみを制御する中枢は、呼吸筋(横隔筋、肋間筋)、咽頭筋、顔面筋に伝わり、一斉に収縮するのです。その事前動作として、反射的に空気を吸い込みますが、実は、吸入する空気量が多いほどくしゃみの音量も大きくなります。

 

【くしゃみの危険性】

くしゃみの排ガスを我慢すると、そのエネルギーは、身体の中に開放される事となり、時として、『背骨圧迫骨折』を招く事もあります。特に、閉経後の骨粗鬆症が進んだ女性の方は、骨がもろくなっているので要注意です。そればかりか、ぎっくり腰などの腰痛を抱えてしまう事もあるので、注意が必要です。

 

【くしゃみと東洋医学】

くしゃみの事を東洋医学では、噴嚏(ふんてい)と言われています。

症状によって、推奨方剤が変わってきます。

 

●花粉症で、サラサラした透明の鼻水タイプ

こちらは、身体が寒がっている体質で、鼻水が止まらない時は、『小青竜湯』(しょうせいりゅうとう)です。

 

●鼻づまりが強いタイプ

同じ寒がっているタイプでも、鼻づまりがひどい場合は、『葛根湯加川芎辛夷』(かっこんとうかせんきゅうしんい)がおススメです。

 

●ネバネバ黄色い鼻水で、鼻炎を抱えているタイプ

ネバついた粘り気のある黄色い鼻水は、慢性鼻炎による熱を抱えているので、『荊芥連翹湯』(けいがいれんぎょうとう)です。

 

●匂いが分からないタイプ

鼻づまりが重傷で、嗅覚まで影響が出ている場合は、『麗沢通気辛夷』(れいたくつうきしんい)が良いでしょう。

 

今年は飛散量が多いみたいです。我が家のティッシュの消費量も増えてしまいますが、物価高により、出来るだけ節約してもらうように、カミさんに「恐る恐る」お願いしようと思っています。