日本における2台巨頭の怪獣である、ゴジラとガメラ、ゴジラが王道だとすれば、ガメラはマニア向けです。どちらも、昭和・平成シリーズがあります。
どちらかというと、私はガメラ派です。特に平成ガメラは、その特撮センスが抜群で、マニア心を刺激しました。
巨大感を演出するためのカメラアングル(実相寺アングル)を多用し、陸海空で大暴れします。
そんなガメラが、CGアニメ版ではありますが、令和に復活すると聞いて、還暦オヤジは胸躍り、公開を心待ちするようになりました。
既にPVも2種類用意され、5体の敵怪獣も解禁になりました。
●ガメラ:カメがモチーフ
●ギャオス:こうもり
●ジャイガー:爬虫類
●ギロン:両生類
●ジグラ:深海魚
●バイラス:イカ
それぞれ、個性的なお姿です。昭和のイメージを残しながら、違和感なく再デザインされています。PVを見ると、「怪獣プロレス感」満載で、
「そうそう、こういうのが見たかったんだよ!」
と言う仕上がりになっています。
実写でないのが少々残念ですが、まずは復活を、心から祝いたいと思います。
さて、この登場6怪獣ですが、実は、どれも生薬として存在しています。やっつけた怪獣から、ドンだけ生薬が採取できるんだよ…という事はさて置いて、紹介してみましょう。
① カメ
カメは背面と腹部に甲羅を有しています。その中で、イシガメ科のクサガメの腹甲は、「亀板」、スッポン科のシナスッポンの背甲は「鼈甲」(べっこう)という生薬になります。
両方とも、陰を補って上半身に上がった「熱」を、クールダウンする効能があります。どちらかというと、亀板の方が、腎を補い、潤いを与える効能があり、成長発育を促し、筋骨を健常にする働きがあります。
これに対し、鼈甲は、軟堅散結(なんけんさんけつ)の効能を有し、痰や瘀血などによる、身体のしこり・イボ・結石を消退させる効能があります。
亀板は、やや硬くシッカリ感があり、鼈甲は、やや柔らかくペラペラした感じの物性も、薬効に反映されているのだと思います。
また、カメ類は、動作もゆっくりです。キリキリ・イライラした感じがありません。こうした生き物の成分を取り入れるという事は、激情して顔が真っ赤になってイライラしている状態を鎮める効能が、そもそも備わっているのです。
② こうもり
コウモリは、哺乳類の中で、唯一、飛行能力を有する動物です。昭和ガメラシリーズで、このギャオスは、出色のデザインです。
平成ガメラに登場したギャオスは、金切り声をヒステリックに叫ぶので、着ぐるみの中に入るスーツアクターさんは、女性の方を起用したという話です。ナルホドと、合点がいきました。昭和版も平成版も、人間を捕食します。
実際のコウモリは,昆虫やクモなどの節足動物を大量に食べます。この事から、コウモリ由来の生薬は、こうした栄養源の効能を併せ持つことになります。
最近、虫食が注目されていますが、虫類の外皮には、ムコ多糖の一種である「キチン」が多く含まれています。コウモリは、キチンの分解酵素(キチナーゼ)を持っているので、体内で単糖やオリゴ糖に代謝できる能力が高いのです。この働きによって、非常に高い効率でエネルギー変換できるのです。
そして、コウモリの糞である、生薬名:夜明砂(やめいしゃ)にも、キチン類と分解酵素が含まれています。このことから、夜明砂(やめいしや)は、ドロドロ血をサラサラにする、駆瘀血効果があり、身体に蓄積した瘀熱を冷まします。
特に、目が充血して血走ったイライラタイプ、夜泣き、こどもの癇癪、打ち身によるアザに効果があります。そのため,肝熱による目の充血などに用いられるほか,小児疳積,打撲外傷などにも用いられます.
③ 爬虫類
爬虫類のオオヤモリは既に、漢方の古典では、蛤蚧(ゴウカイ)として記されています。
「肺を補い、なかなか治らない咳き込みを主治し、腎を温陽し、腎虚証、喘息を治す」と記載されています。
西洋医学的には、気管支喘息、肺疾患を改善する生薬として活用されています。
肺が弱い方は、肺気虚証を抱えています。肺気虚イコール気虚と捉えても問題ない位、関連性が高いです。
実は、オオヤモリ生殖行為は、長時間にわたり続きます。性に関係した臓腑は「腎」です。人を補い、腎気を高める事は、性欲にも良い影響を与えます。
この事から、古来より強壮剤として重用されてきました。
④ 両生類
カエルの分泌物は、ガマの油と呼ばれ、蟾酥(せんそ)という生薬です。
ヒキガエルの耳腺から分泌する粘液です。1匹のカエルから採取できる量が少ないので、生薬の蟾酥として成り立つには、数千匹のカエルが必要になります。強い強心作用があり、鎮痛、解毒剤として用いられています。
⑤ 深海魚
鮫は約4億年前に誕生して、その後、殆ど進化していない原始的な脊椎動物です。骨格の大部分が軟骨で構成されています。その主成分は、各種ミネラル、たんぱく質、ムコ多糖類です。
その主成分である「コンドロイチン」は、ヌメリのある物質で、通販番組のサプリメントにも応用されおり、世間の認知度も、だいぶ一般化してきました。
その中でも、「フカヒレ」は、古来より貴重品として中華料理に用いられ、長寿、滋養強壮、美肌食として重用されてきました。
コンドロイチンは、年齢と共に不足しがちな成分です。
足腰を健常に保ち、お肌のハリを保ちたい、更年期の不定愁訴を改善したい時に、一定の効果が見込めます。
⑥ イカ
コウイカの背の軟骨は、「烏賊骨」(うぞっこつ)と言う生薬です。
日干して、砕いて粉末状にして用います。主成分は、炭酸カルシウム・燐酸カルシウム、キチン質などが含まれます。主に収渋薬として用います。効果効能は、止血、胃酸防止、胃の痛みを止痛、不正性器出血の予防に用います。
その他にも、下痢を収め、制汗にも働き、月経過多、血便、鼻血に対しても、止血作用を有します。コウイカの甲は石灰質なので、炭酸カルシウムが主成分です。炭酸カルシウムは、胃酸を中和して、ゲップ、胸焼け、逆流性食道炎を緩和してくれます。
ただ、身体を乾かす作用が強いので、過剰摂取は、身体の中を乾かせてしまうので、コロコロ便の便秘に傾いてしまうので、注意が必要です。
ガメラは、ずっと子供の味方です。
どんな仕上がりになるか?今から楽しみです。