世界の発酵性食品と生薬の関連について

 

まずは、私がよく見るyoutube動画を見てほしい。

 

 

ブラック企業に勤めるペンギンさんと仲間たちの奮闘記です。

アップされた動画の中で、発酵性食品をテーマにした動画がアップされていました。15年間で5000人の口臭を治療してきた者としては、同じニオイつながりということで、楽しく視聴しました。動画の中では、3つの食材を取り上げています。

 

ニシンを使ったシュールストレミング

エイを使ったホンオフェ

そして日本のくさやの干物です。

 

どれも、納豆の20倍は臭い食材です。

劇中、ニオイの単位「アラバスター」というものが使われています。一般的な臭気計には単位はありません。ガスクロマトグラフィーは、ppbの単位が用いられています。

 

このアラバスターは、若林商店が開発し、B&Hラボが販売した、におい濃度測定用ガス検知器の名称です。開発者の発酵学者:小泉武夫氏が、臭気計を開発し、その機種名である「アラバスター」が、そのまま臭気を表す単位の「Au」として用いられるようになりましたが、国際的には認められていません。

 

国際的に通じる臭いの指標は、「臭気強度表示法」というものがあります。

臭いレベルが8段階に分けられています。判定方法は、臭気を有する気体を、無臭気体で徐々に希釈して、どのくらいまで薄めれば、臭気を感じなくなるか?で評価します。

 

私は、比較的ニオイのある食材は、ウェルカムです。特に、発酵性食品よりは、癖のある香草系は、問題なく食べることができます。三つ葉、セリ、パクチー、セロリなど、何でもOKです。セロリは、茎の部分だけでなく、葉の部分のほうが、香りを有しているので、ウサギのようにムシャムシャ食べてしまいます。

 

動画の中で、ニオイの強い食材をディスるのではなく、調理法を工夫すれば、「美味い!」と取り扱っているので、とても好意的に視聴できました。

 

シュールストレミングとホンオフェを食べた後、キャラクターが、くさやを食べるのですが、前に扱った2種のほうが臭いが強いので、「もはや無臭」のところで吹きました。

 

ところで、食材のにおいをかいだ時に、「やばい、この食材は食べないほうが無難だ」と判断するのは、嗅覚の認知特性にあります。

 

鼻の穴を入り、鼻腔上部には、嗅細胞があります。

その数は、ヒトの場合ほぼ一定で、犬のように特別に嗅覚が鋭い方は、存在しないといっても良さそうです。

嗅細胞が興奮し、篩骨篩板の穴を貫通する「嗅神経」をたどって、脳内にある「嗅球」に運ばれます。その情報は、両サイドに分かれ側頭葉に存在する、嗅皮質である「海馬傍回」で分析されます。

 

過去に色々な食材を嗅ぎ分け、「ニオイの記憶」が多ければ多いほど、危険察知能力は向上します。

 

発酵と腐敗は紙一重です。菌が作り出す代謝産物が、人体とって有害か有益か?だけが関係していて、菌自体は、何も悪いことはしていません。

ただ、発酵臭には、人類にとって不思議な魅力があるのは間違いないので、ヤバそうに思えても、つい口にしてしまうのです。

 

ところで、私が専門とする生薬の分野でも、発酵を活用したものがあります。

神麴(シンキク)は、中国では小麦粉と小麦ふすま(麸)に、何種類かの生薬の汁や粉末を加えて発酵させたものです。小麦のふすまは、小麦の外皮の部分で、英語では、「ブラン」と言われる部分です。臨床では、お醤油のようなニオイを持つ顆粒状のものが入手できます。

 

 

麹(こうじ)の表記でもわかるように、コウジ菌や酵母菌が含まれています。特にコウジ菌は、身体の中で、消化酵素を副次的に生み出してくれる菌なので、人体にとって有用です。

代表的な酵素には、唾液中にも含まれるデンプンを分解するアミラーゼ、タンパク質を分解するプロテアーゼ、脂質を分解するリパーゼの働きを助けます。

このことから、神麴は消化促進剤として応用されます。

日本の漢方では、半夏白朮天麻湯(はんげびゃくじゅつてんまとう)や、加味平胃散(かみへいいさん)に配合されており、胃腸虚弱、暴飲暴食による胃もたれ、ゲップなどに処方します。簡単に解釈すれば、家庭にある味噌の発展形と考えればOKです。

 

でも、まさか「テイコウペンギン」で、ニオイ系の題材が用いられるとは思いませんでした。