KAZ、お前、こんな所で、余生を過ごしていたのか…

 

筑波山温泉の帰りに、筑波学園都市周辺も散策です。筑波には、アメリカとNASAと同じように、宇宙事業として「JAXA」があります。

そこで、日本における、宇宙開発の歴史を学びました。

よく、人工衛星に「金箔シート」のようなラッピングがされていますが、あれは、金箔ではなくて、単なる断熱シートであることを初めて知りました。

 

 

何層もの特殊構造であっても、基本的には、レジャーシートと大差ない訳です。

 

 

しかも、人工衛星のボディには、マジックテープで張り付けているだけだそうです。何かの故障があった時、すぐに金属パネルを外して、メンテナンスしなければならないので、断熱シートは、すぐに剥がせる仕様でなければなりません。

 

色々試した結果、マジックテープを用いた固定が、最も適していたそうです。

宇宙空間には、風は吹きません。断熱だけをしてくれればよいので、マジックテープで充分なのです。

それにしても、日本が打ち上げるロケットも、回数を重ねるごとに大型化していきます。直近のH3ロケットは、アメリカの協力も仰いだので、ロケット本体のロゴも、「nippon」から「japan」に変更になっていたのが印象的でした。

 

 

その後、つくば博ミュージアムにも出向いたのですが、そこに見慣れない自動車が展示されていました。

 

2003年に、慶応大学が制作した、電気自動車の「KAZ」です。

 

 

存在は知っていたのですが、生で見るのは初めてでした。この車、ナント8輪で走行するのです。

 

【KAZの諸元】

全長:6700mm、全幅:1950mm、全高:1675mm

車重:2980kg、乗車定員:8人

最高出力:55kw×8=440kw(590hp)

最大トルク:100Nm×8=800Nm(590lbs-ft)

バッテリー:リチウムイオン、315V 

サスペンション:ダブルウィッシュボーン・ハイドロニューマチック

航続距離:300km、0-400m加速:15.3秒、最高速度:311km/h

 

現代の電気自動車と比べても、全長以外は見劣りしない性能です。当時から、リチウムイオン電池を採用し、インホイールモーターも装備しています。これは、20年たった現在でも、実用化されていません。

 

日本にも、未来の車社会を変えようと志す「イーロン・マスク」の卵は、確かに存在していたのです。

 

我が国の社会通念は、トップダウン式の「村社会」を形成しています。画期的な提案が下から提案されても、「そんなことやって、だれが責任を取るんだ!」の一言で、計画は日の目を見ることはありません。

 

「それ、いいねぇ」

「オレが責任を取るから、ジャンジャンやって」

 

という意気込みとでは、スタートのエネルギー量が全然違います。

イーロン・マスク氏が立ち上げたベンチャー企業の「テスラモーターズ」は、あっという間に躍進し、時価総額もトヨタを抜いてしまいました。

 

当時、電気自動車のKAZを開発した慶応大学生も、今は、結構な年のオジサンになっているはずです。現在の日本の状況をみて、どのように感じているのでしょう?

日本が、電気自動車の未来をになう世界線だって、あったはずなのに…。

いつも、後追いです。

携帯事業も、液晶テレビも、古くはビデオデッキも、みんな、追い越されてしまいました。

 

本当に情けない思いでいっぱいです。

KAZを見て、車が泣いているように見えました。