第15回、日本口臭学会に参加してきた…後日談

 今年のポスターです。

商いの町の大阪らしく、口臭治療をどのように商業ベースに乗せて行くか?が、メインテーマになります。

 

学会発表の内容をアップロードしてみました。

無料モデルで拝借した、アバター社員の「四国めたん」がプレゼンしています。

 

→動画はこちら

 

今回の学会のプログラムの中で、特別講演として、

「口臭経済学」講師:上昌広(医療ガバナンス研究所)が発表されていたのですが、口臭治療は、院内経営上、時間がかかる割には、あまり利益に直結していない…と言う内容でした。

 

確かに、口臭で悩んでいる患者さんと問診をしていると、今まで、どんなに口臭で悩み、どんなに損した人生を歩んできたか…と言う話を、延々と話し始めます。

 

時として、30分以上、その話に寄り添い、「大変でしたねぇ」とか「心情お察しします」などの言葉をかけて、悩みの程度を聞き出します。

 

もし、口臭治療以外にも、歯周病治療、矯正治療、インプラント治療、ホワイトニング治療などを並行して診療している先生であれば、アポイントに滞りが生じ、衛生士から、

「先生、次の患者さんが控えています」などのメモ書きが渡される事となります。

 

口臭治療を専門にするならば、他の診療科目を捨てなければならない…と言うのが持論です。

ドリルを捨てなければ、口臭治療は出来ません。

 

つまり、

 

●インプラントや矯正は、「狩猟型ビジネス」です。最初にマンモスを狩って、お肉にあり付けたら、再び、次のマンモスをゲットするために、ジャングルに繰り出さなければなりません。ずっと、狩り続けなければならないのは、結構プレッシャーになります。

1回でも、狩猟に失敗すれば、医療裁判を受ける事となり、多くの慰謝料を請求されるかもしれません。

 

これに対し

●口臭治療は、「農耕型ビジネス」です。最初の収穫は少ないですが、一人一人の患者さんを大切に育てていけば、やがて、実りの時期がやってきます。末永いお付き合いが始まるのです。そうした患者さんを、10人→100人→1000人と生み出せば、安定して利益につながるビジネスモデルを構築できます。

 

 

テレビドラマの女医さんは、「私、失敗しないので」と決め台詞を口上しますが、実際の現場は、常に失敗のリスクを抱えながら、慎重に施術をする必要があります。

 

実際に、インプラントの外科手術で、大きな動脈を切ってしまい、大出血から窒息を招き、大きな医療過誤に発展した事例もあります。そこまで行かなくても、下歯槽神経を損傷してしまえば、筋肉の動きや知覚に麻痺が残ってしまい、顔面神経麻痺により顔貌も変わってしまう事故も起きています。

 

私も、若い時は外科を志していた時期があり、インプラント手術後、唇に麻痺が出た事を記憶しています。その時は、神経切断ではなく、術後の出血による軽度の圧迫だったので、早期に、知覚は回復しましたが、来院ごとに、ヒヤヒヤしながら術後の経過を見守りました。

 

これに対し、口臭治療の場合、患者さんのお身体を、大きく切り裂く事はありません。気持ちの行き違いから、心を傷つけてしまう事はあるかもしれませんが、大きな身体的な後遺症を残す事は、まずありません。

 

実は、ここが、口臭治療の最大のストロングポイントだと思っています。

 

医療従事者は、神様ではありません。常に、誤診と医療過誤を見据えながら、最善の治療を心がけています。それでも、ミスは起こり得ます。

開業医は、個人事業者です。リスク管理をしながら、経営を維持していかねばなりません。そして、年々、身体は老化していきます。手先の感覚も、少しずつ変化していきます。個人的には、農耕型の口臭治療は、老齢になってからも仕事できるので、身体と気持ちに優しい治療だと考えています。