カプサイシンと生薬

 

昨今、激辛ポテトチップを学生が食べて、急性中毒により、健康被害が報道されました。

辛み成分の「カプサイシン」の過剰摂取が原因です。

一般的にカプサイシンの致死量は、体重が50kgの人であれば3,000~3,750mgです。過剰摂取で命の危険が生じてきます。 

これは、市販されている卓上の一味唐がらしベースで換算すると、実に67瓶を、一気に摂取した量に相当します。現実的にはあり得ない量です。

 

ただ、消化器官が未発達の若い年代の方が、過剰に摂取すると、急性中毒になります。今回、学生が食べてしまったポテトチップは、「18禁」シリーズと言うポテトチップです。

 

カプサイシンを摂取すると、早期に神経細胞が興奮状態になります。この刺激は、脳へ情報として送られ、「辛さ」を脳が、「熱感」や「痛み」として認識するようになります。

 

加えて、辛さの刺激が強すぎると、全身にも火照り・高熱などの物理的な変化を感じるようになり、量が多ければ、一過性の炎症反応を引き起こす場合もあります。

 

さらに、カプサイシンの過剰摂取は、口内に炎症を招くだけではなく、気管支や喉・消化管にも過敏な反応が出ます。ここで重要な点は、気管支に刺激が伝わると、気管支平滑筋の収縮を招く事で、息切れ・呼吸困難が出てしまうので、注意が必要です。

 

最終的に、食道や胃、腸の粘膜がただれ、消化管出血を起こし、多量の出血によって、急激な低血圧・めまいや失神、ショック状態になり、意識の喪失、多臓器不全になる場合もあります。

多量の出血が起きると、手足などの末梢部へ血流が送れなくなり、体温調節が難しくなります。すると、冷汗・体温低下・意識喪失を起こすこともあります。身体は、こうした状態をカバーするために、急激に心拍数は増加し、心臓に負担がかかる事で、一過性の不整脈・心不全が生じることもあります。

 

実は、生薬の中にも、カプサイシンと同じように、辛み成分を含有するものがあります。

 

●コショウ:辛み成分、ピペリン

●ショウガ:ジンゲロール

●サンショウ:サンショオール

●ニラ・ニンニク:アイリン

 

などの生薬にも、大なり小なり、過剰反応する事で、同様の健康被害が出る事が予想されます。

漢方服用の際も、用法容量を守ることが重要です。