家康が好んだ「香木」と生薬

 

夏休みの某日、サントリー美術館で催された「徳川美術館展 尾張徳川家の至宝」に行ってきました。

 

真夏の暑い日は、屋外でのアクティビティよりも、冷房の効いた屋内の美術鑑賞の方が、老体には優しいです。

https://6mirai.tokyo-midtown.com/event/tokugawa2024/

 

NHKの大河ドラマ「どうする家康」で、だいぶ予習が出来ていたので、展示物の理解が進みました。その中で、家康は自分の健康にも注意を払い、当時の医学を積極的に取り入れ、養生していたようです。お陰で、徳川家康は乱世の中、75年の生涯を生きました。 同じ時代に、天下統一を目指した織田信長が、49歳。 豊臣秀吉が、62歳である所から見ても、当時としては長寿であったと思います。

 

展示物の中で、

徳川家康公所用「重要文化財 香木の伽羅(きゃら)」がありました。

 

https://www.toshogu.or.jp/news/post_30.php より引用

 

伽羅は、沈香(じんこう)の中でも、特に品質の良い物になります。桃山時代以降、茶道のお茶会の席上、香りを楽しむ「もてなし」が振る舞われました。家康公は、特に香木の収集に熱心で、日本のみならず、近隣諸国からも取り寄せて、伽羅への執着を見せていました。

それは、外交の道具にも重用され、東南アジア諸国の君主に寄贈したほどです。

 

家康公は、自ら香木の調合にも励み、練香(ねりこう)も行いました。その香具を入れた手箱も展示されていました。

 

 【その他の香草】

沈香以外にも、香りを持つ生薬はあります。一部は、現代にも日用品やハーブとして、独立した発展を遂げています。

 

●白檀(サンダルウッド)

ビャクダン科常緑樹の幹・根の心材部分。木の表面、枝、葉には香り成分がありません。30年以上生育した、木の心材にニオイが宿ります。常温でも香りが立ち、扇子や線香に重用されます。

 

効能は、殺菌・消毒作用や抗感染症作用に優れ、泌尿器系の感染症に用いられます。その他、風邪の初期、咳・喉の痛み、気管支炎にも効果があります。加えて、その利尿作用により、浮腫の解消にも有効です。

 

●桂皮(シナモン)

 

ベトナム、中国南部のクスノキ科の常緑樹の樹皮。

その中でも、スリランカ産をシナモン、日本産をニッキと分けています。芳香性の高いスッキリとした甘みと、ややスパイシーな香りが特徴的です。紅茶を飲む時は、シナモンスティックとして重用されます。その他、線香やお菓子、カレーにも使われています。

効能は、健胃や解熱、鎮痛、温陽の効果もあります。

 

●山奈

ショウガ科バンウコンの根茎を乾燥させたもの。

ショウガのニオイに加え、おしろい粉のような、ほのかな甘い香りもします。

効能は、芳香性健胃生薬、歯痛に使用されるほか、調味料としても重用されます

 

●丁字(クローブ)

フトモモ科のチョウジノキの蕾を乾燥させたもの。

つぼみが釘のような「T字型」である事から、フランス語の「クローブ」と呼ばれ、日本では、見た目で、丁子と言われるようになりました。

カレーや肉料理の下ごしらえなど、香辛料として用いられます。

効能は、殺菌作用・麻酔・収れん鎮痛作用があり、歯痛・やけど、切り傷に効果があります。

 

 香りのある生薬は、その臭いを嗅いだ時に、「鼻粘膜」からも吸収されて、薬効を発揮します。

一般的に、エキス顆粒漢方よりも、煎じ漢方の方が、切れ味が高い傾向にあります。