4月生まれの私は、今年、とうとう還暦を迎えてしまいました。一般的には、赤いちゃんちゃんこを着て祝うようですが、現在はあまり行わないようです。
特に、私達夫婦は、同い年なので、夫婦で還暦です。
そんな某日、以前のブログで登場してもらった、東京大学留学中のアロンソ君から、お祝いの品が届きました。
なんと、赤いちゃんちゃんこではなく、箱を開けてみると、
メッセージカードと共に「赤いボクシンググローブ」が同梱されていました。
もし、日本の風習を理解して、赤い色の記念品をプレゼントしよう…と、考えてくれたのだとしたら、アロンソ君、ただ者ではないな…恐るべしと思いました。
以前、成田空港に出迎えに行き、豆腐料理やさんで会食をした時に、お互いの相互理解を深めるために、好きな映画や、趣味について語り合いました。
https://www.nakajomotoo.com/nichijo-20180930-6/
私は、格闘技が好きなので、メキシコ人ボクサーやルチャリブレと言う覆面プロレスラーの団体の事などを語り合い、
「結構、共通の話題があるじゃん」と、思ったりしていました。
アロンソ君は、東京大学留学中にボクシング部に籍を置いているらしいので、かなりのボクシング通です。
そして、ボクシンググローブをよく見ると、何やらサインが書き込まれています。併せて送られてきた添付の画像を開いてみて、椅子から転げ落ちる程、ビックリしました。
ナント、なんと、信じられない事に…El Finitoと称される
リカルド・ロペス氏が映っているではないですか!
El Finitoとは、スペイン語で『素晴らしい男』の意味です。
日本のボクシング漫画で、「はじめの一歩」と言う作品があるのをご存知でしょうか?
その劇中、リカルド・マルチネスの言う、無敵のメキシコ人ボクサーが登場しています。このキャラクターは、間違いなく、リカルド・ロペス氏がモデルです。
実際の人物である、リカルド・ロペス氏は、伝説のボクサーです。YouTubeで動画検索をすれば、熱心なファンが、過去の対戦の様子を動画でアップしています。
実際のロペス氏も漫画の中のマルチネスも、キャラクターの設定は全く同じです。
両者とも、基本に忠実な、精密機械と称される正確無比なパンチを放ち、非常に紳士的なボクシングを信条とし、肘内などの反則行為や抱き着くようなクリンチをしない、クリーンなボクサーです。
殴り合いのような激闘をするのではなく、まず、離れた所からジャブを放ち、相手のスキをついて、ジワジワとダメージを与えます。また、中間距離では、ワンツーのコンビネーションを織り交ぜて、最後に接近戦で、ボディーを打って相手の侵攻を食い止め、フィニッシュで強烈なアッパーカットを炸裂されます。
こうしたスマートなボクシングスタイルで、リカルドは、ノックアウトの山を築きました。
また、非常に慎重な性格で、多くのボクサーが、チャンピョンになってしまうと、人間性も悪くなり、悪態をついたり虚勢を張ったり、問題児になるケースも多いのですが、リカルドは、素質に溺れる事なく、日ごろの練習態度も真面目で、メキシコのみならず、世界中で愛され尊敬された、伝説のボクサーです。
その戦績は、
アマチュアボクシング時代: 40戦 40勝 28KO
プロボクシング時代: 52戦 51勝 37KO 1分
そして、8年以上もチャンピョンであり続け、2002年11月、無敗のまま引退しました。
もう一度、サインをしている写真を見てみて下さい。引退後、17年経過していますが、その風貌は、若い時のままです。メタボになってブクブク太っていません。
この事から、現役の時も、引退してからも、普段から節制した生活を送っていた事が解ります。
凄いぞ!…リカルド、正に、El Finito!
彼は、引退を決意した時の取材で、以下のようなコメントを残しています。
「恐らく、まだ1、2試合はできると思うが、ボクサーは何が起こるか分からない。医学的な検査では異常は見つかっていないけど、ダメージを抱えて余生を送るようなことは避けたい。」
正にボクサーの鏡です。単なる殴り合いではなく、「ボックス」する事を具現化した、クレバーなボクサーで、私は大好きな選手の一人です。
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それにしても、アロンソ君は、なぜ、サイン入りグローブを手に入れる事が出来たのでしょう?
なぜならば、去年の7月から、彼は、ずっと日本を拠点にして留学中です。去年のクリスマス休暇は、2週間ほど、メキシコに帰っていました。もしかしたら、その時に、リカルド・ロペス氏の元へ、わざわざ足を運んだのでしょうか?
そもそも、いきなりロペス氏のボクシングジムに突撃しても、サインして貰えるかどうか?確約は取れません。
アロンソ君、君は…いったい…君は何者だ?謎は深まるばかりです。
もしかしたら、メキシコでは大富豪の御曹司なのか?
今度会ったら聞いてみようっと。
我が息子…になるかもしれない、アロンソ君、改めて有難うございました。一生の宝物にするからね。